体幹部のワークアウトをしっかり学んで実践している。食事も過不足ないように管理している。毎日の水分補給も欠かさず努めてきた。それなのに、理想の腹筋になかなか到達できないという人は、呼吸を見直してみてはどうだろうか。
文:William Litz 翻訳:ゴンズプロダクション
呼吸で何が変わるのかと疑う人もいるだろうが、実は、呼吸は腹筋づくりにとても影響する要素なのである。言われてみると、呼吸なんてあまり意識したことがないという人がほとんどだろう。実際のところ、腹筋づくりのための理想的な呼吸法があるわけではないのだが、体幹部を強化するための正しい呼吸法があるので知っておいて損はない。
呼吸が間違っている場合の弊害
横隔膜は肺の下にある「筋肉」だ。息を吸うと、横隔膜は平らになって下方に下がる。下方に下がることで腹腔内に収まっている様々な臓器を押し下げて、肺の体積を広げてくれる。別に何の造作もないように思える横隔膜の動きだが、たとえば姿勢が悪かったり、様々なストレスで全身が緊張状態にあったりすると、一見、単純に思える横隔膜のこの動きが十分に行えなくなってしまう。
その結果、呼吸が浅くなり息苦しさを感じたりしてしまう。息苦しくなって思い切り呼吸をしようとすると、胸郭上部を動かすことになる。胸郭上部が不必要に動くと、背中や胸の筋肉に違和感が出るようになり、この状況はさらに姿勢へと影響する。というのも、脊柱が動きにくくなるので、やがて下背部、腰、骨盤底骨筋などが弱体化していくのである。
腹筋づくりに最適な2つの呼吸法
横隔膜呼吸には心身をリラックスさせる効果がある。さらに、体幹部の筋力向上やストレス緩和にも貢献するので、ぜひ覚えておきたい呼吸法だ。横隔膜呼吸のやり方には2つある。
①厚めのクッションやマットにあぐらをかいて座る。このとき、膝よりも腰の位置が高くなるようにクッションの位置を調整する。肋骨の位置にタオルを背中から巻いて体の正面でクロスさせ、タオルの端をそれぞれ両手に握る。息を吸い込んだときに肋骨が締め付けられ、息を吐くとタオルが緩められるはずだ。息を吐くときは口から吐く。このとき、風船を膨らませるように口をすぼめて息を吐くようにする。
これを繰り返すと、呼吸のたびに肋骨が広がったりすぼまったりするのがわかるはずだ。
また、横隔膜呼吸をすると腹筋が緊張し、ヘソが体の内側に入り込む。バキュームをしているのと同じ状況が作られる。
②床にあお向けになり、膝を立てる。両足の裏はしっかり床につけ、両手は体の横に広げておく。この姿勢のまま息を吸い込む。このとき、肋骨が床面に押しつけられるイメージを作ろう。その後、口から息を吐く。このやり方でも腹筋が緊張し、バキュームの状態が作られるはずだ。