ボディビルダーに求められる胸筋とは

ボディビルダーにとって完成度の高い胸筋とは、少なくとも上部胸筋がしっかり発達していて、全体的に張りがある状態だと言える。下部胸筋がやたら目立ってしまうと、どれだけ胸のサイズが大きくても評価は下がってしまうだろう。それでは早速、コンテストで高評価が得られる胸の種目を紹介していきたい。

インクライン・バーベルベンチプレス
Incline Barbell Bench Press
この種目はインクラインベンチを使って行う。インクラインベンチ専用のベンチ台、もしくはインクラインベンチ台をパワーラックの中に置いて行うこともできる。この種目はボディビルダーにとってはマストなので、どんな工夫をしてでもぜひプログラムに組み込んでほしい。
[やり方]
①インクラインベンチの背もたれの角度を45度程度にセットする。背もたれを立てれば、それだけ負荷が肩に分散されやすくなる。上部への効き具合を確認しながら調整しよう。
②バーベルをオーバーハンドで握ってラックからバーを外し、腕を伸ばしてバーベルを胸の上方に保持する。これがスタートポジションだ。
③大きく息を吸い込んだら、肘を曲げながらゆっくりとバーを胸の高さまで下ろしていく。バーが胸に触れる直前で動作を止める。これがこの種目のボトムポジションだ。
④ボトムから息を吐きながらバーをトップまで押し上げる。これで1レップの完了だ。

インクライン・ダンベルベンチプレス
Incline Dumbbell Bench Press
先のインクライン・バーベルベンチプレスをダンベルで行うバージョンだ。バーベルではラックが不可欠だが、ダンベルではそれが不要になる。ただし、慣れないうちは、ダンベルを持ち上げてスタートポジションを取るまでに手間取るかもしれない。
[やり方]
①まずベンチ台に座り、両腿の上(膝に近い位置)にダンベルを立てて乗せる。片側ずつ膝を持ち上げ、その反動を利用してダンベルを肩の位置に保持しながら、ゆっくり背中を背もたれにつける。これがスタートポジションだ。
②スタートポジションからダンベルを胸の上方に押し上げる。一旦停止したら、ゆっくりダンベルをスタート地点まで下ろす。

ロー・トゥ・ハイ・ケーブルフライ
Low to High Cable Flyes
この種目はケーブルマシンを使う。ケーブルマシンにハンドルを取り付け、左右のプーリーは低い位置にセットしておく。
[やり方]
①左右のハンドルを両手にそれぞれ握り、マシンの中央に立つ。
②ケーブルを引いて両手のハンドルを身体の中央で合わせるようにする。このとき、胸筋に強い収縮感が得られているか確認する。ここがトップポジションだ。
③トップポジションで一旦停止したら、ケーブルの負荷に抵抗しながらゆっくりハンドルをスタート地点まで戻す。決してケーブルに引っ張られてしまわないように。

インクライン・ダンベルフライ
Incline Dumbbell Flyes
この種目では45度に背もたれをセットしたインクラインベンチとダンベルを用いる。
[やり方]
①無理をせず、まずは軽めのダンベルを用意して両手にそれぞれ握り、ベンチ台にあお向けになる。
②肩甲骨を中央に寄せた姿勢を保ち、両腕を伸ばしてダンベルを胸の前方に保持する。このとき、肘はロックさせないこと。腕は前方に伸ばすが、肘は軽く曲げた状態を維持する。
③大きく息を吸いながら、両腕を左右に開いていく。このときも肘は軽く曲げたままの状態を保つ。④床面に対して上腕が水平になるまで広げたら、それがこの種目のボトムポジションだ。一旦停止したら、息を吐きながら弧を描くようにダンベルをスタート地点まで戻して1レップの完了だ。

インクラインベンチ・ケーブルフライ
Incline Bench Cable Flyes
背もたれを45度にセットしたインクラインベンチ台とケーブルマシンを用いて行う。左右のプーリーを低い位置にセットし、ケーブルにハンドルを取り付ける。
[やり方]
①両手にハンドルをそれぞれ握ったら、マシンの中央に置いたインクラインベンチにあお向けになる。両腕は下方に下ろした状態になっている。これがこの種目のスタートポジションだ。
②スタートポジションから、ケーブルを引きながら身体の前で両手のハンドルを合わせる。このとき肘は軽く曲げておく。両手のハンドルを合わせたとき、ハンドルの高さは胸より少し上方に来ていること。これがこの種目のトップポジションだ。
③トップポジションからゆっくりハンドルをスタートポジションに戻して1レップだ。動作中、肘は軽く曲げた状態を保つ。ちょうど大木を抱え込むようなイメージで行う。

各種目の共通事項

①どの種目もセット間の休憩は一定にする。筋力向上が主な目的ならセット間休憩は3分程度、筋量増加が目的なら45〜90秒程度を目安にしよう。ただし、あくまでも目安だ。用いる重量や運動強度、体力差などによってセット間の休憩時間は変わってくる。あまりにも長く休むのは筋力、筋量アップにはマイナスなので、次のセットでも全力を出し切ることができる範囲で休憩を取るように心がけよう。
②どの種目もスタートからフィニッシュまでフルレンジで動作を行う。対象筋の隅々まで刺激を行き渡らせるにはフルレンジが必要だ。確かに一部の可動域だけで動作を行うトレーニング法もあるが、ここでは使わない。もし、フルレンジでの動作ができていないのであれば、使用重量が重すぎることが原因かもしれないので調整してみよう。フォームを重視し、フルレンジで動作を行うように心がけ、それが可能な範囲での高重量を使うことが理想である。
③胸のワークアウトは高頻度で行わないほうがいいだろう。また、1回のワークアウトのトレーニング量も多すぎないほうがいい。胸筋のオーバートレーニングはケガにつながりやすく、肩への負担も大きくなるため、他の部位のワークアウトにも悪影響になる。例えば4日で全身を一巡するような分割プログラムなら、上部胸筋のワークアウト日と下部胸筋の日(フラットベンチプレス、ディップス、プッシュアップなど)を分けて行ってもいいだろう。
④上部胸筋の筋量アップを目指すなら、レップ数は比較的多めにしたほうがいいだろう。逆に、下部胸筋に対しては、筋力アップを目指したほうがいいので低レップのセットがおすすめだ。上部も下部も同じ大胸筋だが、ハイレップ種目とローレップ種目を織り交ぜることで、より理想的な形の大胸筋を完成させることができるはずだ。

最後に

ボディビルダーやフィジークアスリートとして成功したいと思っているなら、上部胸筋はおろそかにできない。競技アスリートなら、あえて上部胸筋の種目を行わなくても、通常の胸のワークアウトをやっていればそれで十分かもしれない。その場合、積極的にフラットベンチプレス、ディップス、プッシュアップなどを行うようにするといいだろう。

それでも、上部胸筋の発達は肩の強化に役立つ。肩をよく使う競技アスリートなら、たまには上部胸筋のワークアウトを取り入れて新鮮な刺激を得てみるのもいいだろう。

ボディビルダーやフィジーク系アスリートなら積極的に上部胸筋を肥大させ、下部胸筋が目立ってしまうような胸づくりは避けよう。

今回紹介した上部胸筋のための種目は、効率よくこの部位を刺激してくれる。いずれもハイレップで行ってみよう。そうすることで、胸の完成度をより高めることができるはずだ。

提供元・FITNESS LOVE

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