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対弾性と耐熱性のテスト
わたあめの製造原理も軍事技術になる

対弾性と耐熱性のテスト

銃弾と高熱から兵士を守る多機能ナノファイバーが作られる! 「わたあめ製造機」に強度のヒントがあった
(画像=サンドイッチ構造をとることでナノファイバーシートは既存のアラミド繊維のみのアーマーと同じ対弾性を確保した/Credit:Matter,『ナゾロジー』より 引用)

大学が作った新しいナノファイバーシートに対して、軍は実践的なテストを行いました。

テストにあたっては、ナノファイバーシートを従来のアーマー素材であるアラミド繊維(トワロン)のシートで挟んだもの(3層)と、アラミド繊維のみの3重層に対して、弾丸が撃ち込まれました。

結果、ナノファイバーシート入りのものは、アラミド繊維のみからなるアーマー素材と同等の対弾性をもつことがわかりました。

また耐熱性のテストでは、上のようにファイアージェットと兵士の肉体を模したゼラチンが用いられ、間に従来のアラミド繊維からなるものと、ナノファイバーシートを含んだものが置かれて熱の遮断効果が確かめられました。

結果、従来のアラミド繊維では容易にゼラチンが溶けてしまったのに対して、ナノファイバーシートを含む場合は高い熱の遮断効果があることがわかりました。

わたあめの製造原理も軍事技術になる

銃弾と高熱から兵士を守る多機能ナノファイバーが作られる! 「わたあめ製造機」に強度のヒントがあった
(画像=『ナゾロジー』より 引用)
銃弾と高熱から兵士を守る多機能ナノファイバーが作られる! 「わたあめ製造機」に強度のヒントがあった
(画像=ノウハウと技術に加えて軍事技術化への強い動機がなければならない/Credit:depositphotos,『ナゾロジー』より 引用)

今回の実験結果によって、わたあめ製造機のような身近な製造原理からでも、貴重な軍事技術がうまれることがわかりました。

ハーバード大学の技術開発局は、この技術の特許を申請しており、商業化を積極的に推進しています。

日本は、わたあめ製造機のノウハウも、アラミド繊維を作る技術も持っていましたが、今回の研究のような軍事技術化には及びませんでした。

それが幸せなことなのか、不幸なことなのかは個人によって判断が別れるかもしれませんね。

研究内容はハーバード大学のグラント・M・ゴンザレスらによってまとめられ、6月29日に学術雑誌「Matter」に掲載されました。

para-Aramid Fiber Sheets for Simultaneous Mechanical and Thermal Protection in Extreme Environments

提供元・ナゾロジー

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