「定年本」というジャンルを読んだことはありますか?今や定年が大ブームです。日本人男性の過半数が定年経験者になるのではという勢いですから。
当然、そこに商機を見出して「定年本」が雨後の筍のように出版されました。
けれども、とある「定年本」を読んでいると、なんだかモヤモヤしてきます。
たとえば、「老後資金をつくるうえで、最も優れた制度」として「イデコ」(iDeCo)が紹介されています。こんなにわけのわからない制度を作るのなら減税してほしいくらいですが、こういう制度の方面に詳しくないとやっぱり資産は築けないのでしょうか。定年が近づいている年齢の私には遅すぎますし。
私に資産がないのは、真面目にサラリーマンをやらなかったからにほかなりませんが、「定年本」にはこんなことも書いています。
私は定年退職時に預貯金がたったの150万円しかありせんでした。
おお、貯金のない私にも希望が出てきました。
けれども、読みすすめていくと、「退職金や企業年金、公的年金がでるということ大前提」だったから「老後についてほとんど心配はしていませんでした」と書いていらっしゃいます。
共感した自分が恥ずかしくなりました。これからの「定年男子」には参考にならなさそうです・・・。
不安に煽られて投資を始めてしまう人々
この著者の方の別の本で、「年金不安を煽る報道に惑わされてはいけない」ということも書かれていました。それで退職金で投資を始めて、失敗してしまう人が多いそうです。
年金不安を煽るのはマスコミだけではありません。金融機関の営業マンも同様に「年金は破綻する」と訴えかけてきます。
著者の方自身、今から20年ぐらい前に現場の第一線で営業をやっていた時には、「年金なんて当てになりませんよ。いずれ破綻するかもしれない。だからそれに備えて投資信託を買いましょう」と言ってお客さんに投信を売りさばいて、トップセールスだったそうです。
証券会社にいたときはお客さんに嘘をついていたけど、作家になってこの本を読んでいるお客さんには本当のことを言うよ!という親切心なのでしょうか。