オカヤドカリと人との関係

オカヤドカリは陸上性でヤドカリとしては大型であるため、生息域では食用にされることもあります。ヤドカリ類は海中に暮らすものから陸上で暮らすヤシガニまで共通した「ヤドカリの風味」があり、オカヤドカリも似たような味ではないかと推察されます。

また、陸地にいて捕獲が容易いため、大型の魚を狙うための釣り餌にされることも多いようです。ペットとして飼育する人もいますが、一方でオカヤドカリ全体が天然記念物に指定されているため個人での採捕はできず、手に入れる場合は許可を受けた業者から購入する必要があります。

鹿児島でオカヤドカリの産卵が最盛期 陸上生活なのにエラ呼吸?
(画像=ペットとしても人気(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より引用)

また人との関わりの中で特筆すべきものとして、かつて奄美地方に存在した「ヤドカリ葬」とでも呼ぶべき文化が挙げられます。当地では人が亡くなると、その遺体を海岸近くに放置し、ヤドカリやその他の生物に肉を食べさせ、白骨化させたのだそうです。チベットなどに残る「鳥葬」と同じく、生物の力を借りた葬儀方法のひとつと言えそうです。

「陸上に生息する」というユニークな生態を持つオカヤドカリですが、「人との関わり」という点ではそれ以上にユニークで不思議な生き物だと言えるかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

提供元・TSURINEWS

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