ヤドカリの仲間ながら、成体になるとほぼ陸上で生活をするオカヤドカリ。その生態もさることながら、人との関わりについてユニークな点の多い生き物だといえます。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
オカヤドカリの産卵が最盛期
鹿児島県奄美群島の中央に浮かぶ徳之島。この島のとある海岸で先月、国指定天然記念物のオカヤドカリの繁殖活動が盛んに見られました。
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(画像=オカヤドカリ(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より引用)
オカヤドカリの産卵は、毎年梅雨明けごろからスタートし、7月下旬ごろまで続きます。今年も、奄美地方の梅雨明けが発表された7月3日、メスのオカヤドカリが集団で夜の海を目指し、波打ち際で「ゾエア」と呼ばれる孵化直後の幼生を大量に放つ様子が見られました。
徳之島観光連盟事務局の担当者は「オニヤドカリは、よく問い合わせがある島の魅力の一つです。見守る気持ちを大切に観察してほしい」と話しています。(『命の海へ お母さんオカヤドカリ、真夜中の大行進 鹿児島・徳之島』南日本新聞 2021.7.8)
オカヤドカリとはどんな生き物か
オカヤドカリは大型のヤドカリの一種で、成体は陸上生活にほぼ完全に適応しており、ほとんどの時間を陸上で過ごします。ただ空気呼吸に順応しているというわけではなく、貝殻の中にごく少量の水を蓄え、陸上での鰓呼吸を可能としています。
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(画像=カタツムリの殻に入ることも(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より引用)
熱帯の気候に適応した生き物で、冬場に気温が下がる地域では生存できません。日本では奄美群島や沖縄などの南西諸島に主に生息しています。幼体が本州で発見されることもあるようですが、定着はできていないものと思われています。
オカヤドカリは動物の死骸から植物の実まで何でも食べる雑食性で、昼のうちは海岸近くの草むらなどに身を隠し、夜になると這い出てきて砂浜や水辺で餌をあさります。ときに木に登り、果樹を食べるようなこともあるそうです。