はじめに

帝国データバンクが米エール経営大学院の集計をもとに、各国の「ロシア事業撤退(Withdrawal)」の割合を分析したところ、全世界の主要企業約1300社のうち24%に当たる300社超がロシア事業撤退を表明したことが分かった。ポーランドやフィンランドのほか、主要国では英国で半数の企業がロシアから撤退、米国企業も約3割がロシア事業から撤退しており、これらの国では早期の段階で「脱ロシア」の動きが進んでいた。ウクライナ侵攻に国際社会の非難が集まるなか、欧米企業ではロシア撤退を求める圧力が強まり、米マクドナルドや仏ルノー、当初事業を継続してきた米スターバックスなども撤退を決断するなど脱ロシアの動きが加速している。

一方、日本企業の事業撤退割合は帝国データバンクの調査で2.4%、エール大の調査でも1.7%と、イタリア(5%)を下回り主要7カ国中最も低い水準だった。日本企業でもロシア工場の操業停止や同国との製品輸出入停止といった、ロシアと距離を置く動きが進むものの、ロシアビジネス撤退には慎重姿勢をみせる企業が多い。ロシア事業を見直した企業でも、将来的な事業再開の可能性を含む取引の停止などにとどめたケースは多く、ロシア事業をめぐり欧米企業との温度差がより鮮明になっている。ただ、ロシア市場を重要な新興市場として注力してきた多くの日本企業にとって、同国ビジネスは「市場再参入のハードルが高い」など容易な撤退は難しいのも事実で、事態の見極めとロシア事業の将来性を鑑みた難しい判断が引き続き求められる。

■対象は、帝国データバンクが保有する企業データベースに加え、各社の開示情報や報道資料を基に、工場や事業所、駐在員事務所などの設備・施設、直接出資などでロシア国内に関連会社を有するなどの形で、2022年2月時点に進出が判明した上場企業168社

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提供元・帝国データバンク

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