ひと昔前までは国産大手メーカーがほぼ市場を独占していた日本の時計市場だが、近年は精密加工機器メーカー、サプライヤーなどが自社ブランドを設立する動きなどが見られるようになり、中小の新興ブランドが数を増やしている。
こうした、新興ブランドの参入は、単純にブランドの数を増やしてユーザーの選択肢の幅を広げたという点に加え、既存の時計ブランドのマーケティング戦略にも刺激と影響を与えたようだ。シチズン、カシオなどのメジャーブランドが新たなジャンルとして人気を集めている“カスタムオーダーウオッチ”に本格参入をはじめたほか、新興ブランドでは製作が難しい20万円前後のいわゆるミドルレンジの機械式時計のラインナップを強化。これまでの国産時計市場の動向とは少々異なる、新しい動きを生み出すことになっている。
今回は、新興ブランドの登場によって活性化した国産時計市場に注目し、“カスタムウオッチ”と“ミドルレンジ機械式時計”という、二つのジャンルをクローズアップ。それぞれのジャンルに関する最新動向とともに、編集部が注目するモデルを紹介していく。
【注目トレンド其の1:カスタムオーダーウオッチ】
時計パーツの一部をカスタマイズできる、カスタムオーダー。自分好みのデザインをチョイスできることから、より高い満足感を得られるこうしたサービスは、様々なブランドで広まってきている。ストラップのカスタムができるブランドも多いが、なかには文字盤、針、ケースなども選択でき、むしろフルオーダーとも言える自由度を誇るカスタムオーダーウオッチも増えている。三つの遊環もそれぞれカラーが選択できるMY G-SHOCKに至っては、何と約6億5800万とおりの組み合わせが可能だ。
RENAUTUS(ルノータス)
クラシック オートマティック 40mm
20万とおり以上という豊富な組み合わせ数を誇るカスタムウオッチブランド、ルノータスの機械式モデル。バリエーションの豊富さに加えて、メッセージ刻印(無料)などのオプションを併せて活用することで、特別感もたっぷりな1本が手に入る。
■SS(40mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.MIYOTA 821A)。3万8100円
ルノータスウオッチの大きな特徴は、搭載する機械式ムーヴメントもカスタマイズできる点。MIYOTA製(写真)もしくはETA製(+1万7600円)が選択できる。
外装素材にもこだわっており、サファイアガラス風防、316Lスチールなどを採用しながらも魅力的な価格を実現。オプションでリューズに誕生石をセットすることも可能だ。
【問い合わせ先】
ルノータス
TEL.0743-83-0477
Maker’s Watch Knot(メーカーズ ウォッチ ノット)
オートマチック 「箔」エディション AT-38SVPT
時計とストラップの組み合わせで、10万種類以上のコーディネイトが楽しめる、国産カスタムオーダーウオッチのパイオニア、ノット。本作は、前ページで取り上げているノットの「箔」エディションの3針仕様。
■SS(38mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.MIYOTA 9015)。6万6000円(ブレスレットは別売り1万7600円)
公式サイトのシミュレーションページ。選択した組み合わせは着用カットで表示されるため、どんな雰囲気になるかイメージしやすい。
【問い合わせ先】
Maker’s Watch Knot
TEL.0800-555-7010
G-SHOCK(ジーショック)
MY G-SHOCK DWE-5610
2021年からサービスがいよいよ開始された、G-SHOCKのカスタムオーダーモデル。ケースや液晶ディスプレイのほかストラップも片方ずつカスタマイズできるなど、自由度の高いオーダーが魅力となっている。
■樹脂ケース(43.8×48.9 mmサイズ)。20気圧防水。クォーツ。1万5400円
公式サイト上でシミュレーションが可能。現状、ベースモデルはカーボンコアガード構造のDWE-5600シリーズのみとなる。右は編集部が実際にカスタマイズしたもの。
【問い合わせ先】
カシオ計算機 お客様相談室
TEL.03-5334-4869