重要なのはいきなり全力で挑まないこと

さて、そうはいっても、すでに健康に良くない生活習慣を持っている人はどう変化すればいいのでしょうか?ここからはいよいよその解を出していきたいと思います。

その答えとは、「いきなり全力で取り組まないこと」です。つまり、「よし!健康になるぞ!」と最初からあまり力みすぎてはいけません、ということです。「おいおい、せっかくなんとかしようと思っている気持ちに冷水を浴びせる気なのかよ!」と言いたくなるかもしれませんが、力むと失敗します。普段、まったく運動をしない人がランニングを始めても絶対に挫折します。食習慣もいきなり3食全部健康食に変えようと思っても、物足りなさを感じて必ずホメオスタシスに敗北するでしょう。健康になるための決意よりも圧倒的にホメオスタシスのパワーは大きいのです。正面からかかっても勝てません。

ですから、まずは小さく始めることをおすすめします。なぜなら小さい変化に対しては、ホメオスタシスも腰を上げ、本気で変化を止めに来ることがないからです。生活習慣は徐々に、徐々に小さく変化し続けていくのがおすすめです。私は元々夜型の人間で、毎日2時か3時に寝て、休日は遅くまでぐーすか昼まで寝ていました。今では毎日4時か5時に起き、夜は22時には必ず寝ています。しかし、いきなりそれをやったわけではありません。

まずは、祝日の夜更かしを止めるところからスタートさせ、徐々に起きる時間を早くしていき、今の早起き習慣を獲得したのです。その経験からもやっぱり徐々に少しずつ変化していくのが良いと思います。なんにでも当てはまります。お酒を飲みすぎている人は、いきなり完全断酒するのではなく1週間に1日だけでも休肝日を作るところからスタートする。外食で炭水化物ばかり食べている人は、突然炭水化物抜きにするのではなく、3日に1回は炭水化物を控えめにして野菜を食べるようにする。こんな具合です。うまくいったらそれを拡大していくことで、ホメオスタシスのパワーに打ち勝つことが出来るわけです。

40代、50代の中年期の人が生活習慣を変えるのは本当に難しいのです。ですから、時間をかけて変化させるという発想を持つことが重要かと思います。

文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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