こんにちは!肥後庵の黒坂です。

健康というのは一朝一夕でどうにかなるものではありません。今の私たちの体は10年前、5年前の生活習慣の結果であり、1日、2日不摂生をしたところでたちまち不健康になったりはしません。ですが、それが続くと話は違ってきます。長年の不摂生は将来、長年の不健康を生み出すのです。お金の積立と同じく、健康はコツコツと日々の生活習慣を積み上げていくもの、長い年数を経ると取り返しがつかない格差になるのです。

生活習慣は良くも悪くも、人生を決めてしまう力を持っています。そして、「年を取るほど、健康格差は広がり、それを是正するのはより難しくなっていく」と私は考えています。どうすれば生活習慣を改善し、健康を手に入れることができるのでしょうか?

年を取ると生活習慣を変えられなくなる理由

年を取るほど、生活習慣というのは変えるのが難しくなります。これはなんとなく、あなたも分かっているのではないでしょうか?

人間には「恒常性維持機能(ホメオスタシス)」という能力が備わっています。ホメオスタシスとは、環境が変化しても体の状態を一定に保とうとする機能のことです。暑いところへ移動すると発汗して汗をかいて体温を下げようとしますし、その逆に寒いところへいくと体をブルブルと震わせ、鳥肌を立てることで体温を上げ、一定の体温を維持しようとします。

これは生活習慣でも同じことが言えます。人は本質的に新しい行動に対して反発するのです。例えば30歳の人は過去、30年間同じ習慣で生きてこられたのですから、それを急に変えることは「未知のリスク」になります。転職や起業は年を取るほど勇気が必要になるのは、それまでの生活習慣をガラリと変えることになるからです。「別に無理をしなくてもいいか…」と心の中でつじつまを合わせて先送りを続け、一度は決意した転職や起業をせずに同じ生活を送る…これはホメオスタシスによる結果です。

また、年を取ると意欲が衰えるというのも、生活習慣に変化をもたらすことを難しくしています。精神科医の和田秀樹氏は「人は感情から老化する」と主張しています。感情を司る脳の前頭葉が衰えることで、新しいことをするのが億劫になるというのです。

長年の自分スタイルをホメオスタシスが記憶し、尚且つ年をとって意欲が減退するダブルパンチを受けることが、年を取れば取るほど、生活習慣を変化させるのが難しくなる原因なのです。

生活習慣“前”が肝心

上述の通り、年を取ると生活習慣が変化させるのが難しくなります。そうなると、体に悪い生活習慣を止めることもどんどん難しくなります。

人の生活習慣や食事の乱れが起こるタイミングは大体決まっています。それは大学生や社会人を機に一人暮らしを始めた時です。内閣府が行った調査によると、大学生が料理をする頻度は週に1回未満が23.1%、全くしないが20.3%しかありません。それまでは両親が健康的な生活をさせてくれていても、一人暮らしが始まった時から不健康生活が始まり、止めてくれる人がいなくなるとそのまま不健康生活が何十年も継続していきます。一度そのスタイルで定着してしまうと、年齢を重ねた後で是正するのは容易ではありません。

しかし、一人暮らしデビューの頃から「自分の健康は自分で守る」という栄養や健康について理解をしていれば、できるだけ野菜や果物を摂るようにしたり、お酒に溺れることがないようにするなど悪い生活習慣が身に付くことを防止できるのです。実際、私も一人暮らしデビューをした時には「不健康な食生活をすると一生治らない可能性があるから初めが肝心だ」と思い、かなり気をつけて自炊をしていました。今でも当時と変わらず、食事にはかなり気をつけるようにしています(詳しくは過去の記事『お金がなくなって真っ先に食費を削るから余計に貧しくなる』を参照下さい)。

年を取ってから変化するのは難しくなりますから、何事も習慣化する“前”が極めて重要なのです。