デキるビジネスパーソンこそ読む力がある

先ほど例に上げた帰国子女の彼はほとんど本を読んで来なかったと言います。英会話の内容がティーンネイジャーの若者レベルから、まったく発展していない、その理由は「英文の読解をまったくしていないから」という理由は間違いではないと思います。考えてみればこれは不思議なことでも何でもないのです。

日本人で仕事でバリバリ活躍する一流のビジネスマンたちを見て下さい。彼らの中でたった一人でもいいので、「日常的に活字を読まない」という人がいるでしょうか?

あなたの周りを見て下さい。「あの人は仕事出来過ぎ!すごい!」とか「とっても知的で教養があり、話題が豊富で話がとても楽しい」と思う人が活字をまったく読まない生活を送っているでしょうか?答えはNOですよね?当然です。知的な会話、仕事をバリバリこなすノウハウ、こうしたものは母国語・外国語に関わらず、大量の読解に支えられているからです。

語彙力は大量の読解から養われます。微細な違いやニュアンス、誤解のないコミュニケーションは豊富な語彙力が助けてくれるのです。例えば色を伝える上でも語彙力はものすごく役に立ちます。「赤」と言うのと「ワインレッド」と言うのとでは伝わる情報の細かさが異なります。また、自分の意思を正確に、スムーズに伝える力もありますから、同じ人にお願いをする時にも

「これをやっておいてくれ」

というと言われた相手はムカッと来ることがありますが、

「これを早めに済ませることで後々、業務が楽に進みますよ」

という方が気持ちよく受け入れられやすくなりますよね?なぜかというと、後者の言い方は相手に取り組むメリットを伝え、押し付けがましくないからです。ビジネスの達人とは、こうしたコミュニケーション能力の達人でもあり、それは大量の活字を読解する事に支えられているのです。翻って、まったく活字を読まない人たちは話題や語彙が読む人に比べて劣ってしまいます。それが仕事や学業にも出てしまうわけです。

母国語でも大量の読解が知性の根幹になっていることは疑いようもない事実、外国語であれば尚更です。私の知っている範囲に限定した話でも、英語で知的な会話を楽しめる人、ビジネスで重役に付いている人、翻訳家などはみんな英語を大量に読んでいます。新聞もそうですし、ビジネスなどの専門書や学習本、そしてWeb記事などを含めて日常的に読書を楽しんでいるのです。

帰国子女だからといって、彼らが例外なく英語運用能力が高いか?というとその答えはNOです。日本語だろうと、英語だろうとたくさん文章を読み書きをすることで知性を磨いている人こそが、真の英語上級者と言えるのです。新刊『中学レベルの僕が「読むだけ勉強法」で英語をペラペラ話せるようになった! 』ではそんな「読むだけで英語力が向上する学習法」をご紹介しています。ぜひ一度手にとってお読み頂けると幸甚です。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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