中国南西部・雲南省の高山帯に生息する植物Fritillaria delavayiは、人の乱獲に対抗して色を変化させていることが判明しました。
この植物は、2000年以上にわたり漢方薬として重宝されています。
その長い採集の歴史が、淘汰圧として植物に働いていたようです。
研究は、中国科学アカデミー、イギリス・エクセター大学により、11月20日付けで『Current Biology』に掲載されました。
収穫しやすい場所ほど「カモフラージュ」が進化していた
研究チームは今回、本種の個体群をエリアごとに分け、それぞれの環境の色にどれだけ近いか、どのくらい採集しやすいかを測定しました。
また、地元民への聞き取り調査で、エリアごとにどれだけの収穫量があるかも調べています。
その結果、本種のカモフラージュのレベルは、収穫レベルと深く相関していることがわかりました。
採集しやすく、収穫量も多い場所ほど、その場所の色(岩肌など)に近づいていたのです。
他方で、収穫の厳しい急斜面では、緑色を保ったままでした。
コンピュータを使ったシミュレーション実験では、カモフラージュのレベルが高いほど、探知・採集に時間がかかりました。
これは本種が人の乱獲に対抗して、保護色を発達させたことを示唆します。