不妊症への対処の難しさ

まだ不明な点は多いものの、人類全体の生殖能力の低下が出生率に響いているとしたら恐ろしい問題です。

ただ男性の不妊症を問題として来ましたが、最初に述べたように、不妊の問題には男女双方の要因が絡みます。

男性の精子は常に生産され続けるのに対して、女性の持つ卵(卵子)は胎児のときに生産されたもので、生まれて以降は増えません。

つまり女性の卵子には、数に限りがあり、生まれたときに持っていた卵を消費していくため、全ての卵子は時間とともに劣化していってしまいます。

卵子の老化は主に30歳を過ぎてから始まり、35歳を過ぎてからは急激に質の低下が進むとされています。

このため女性では40歳を過ぎると、ほとんどの人が不妊症になってしまうとされています。

男性の精子が弱っている場合、体外受精などの選択肢も出てきますが、妊娠には根本的なタイムリミットがあるのです。

「男性の不妊」が1990年以降から激増している、少子化問題は未婚の人が増えているだけではない?
(画像=男性の精子が弱っている場合に、体外受精が常に解決になるとは限らない / Credit:canva、『ナゾロジー』より 引用)

いざ、子どもが欲しいとなって不妊症に気づき、それが男性側の問題だったとしても、対処の時期を逃してしまうと不妊治療に望んでも妊娠できないという状況になってしまう可能性もあります。

こうした状況は晩婚化が進むと深刻になるかもしれません。

さまざまな要因で、人類は少子化に向かっていく可能性があります。

そう考えると、生まれてきてくれる子どもたちはますます大切にしないといけないと感じますね。


参考文献

Male fertility is declining – studies show that environmental toxins could be a reason(The Conversation)

元論文

The question of declining sperm density revisited: an analysis of 101 studies published 1934-1996.

Temporal trends in sperm count: a systematic review and meta-regression analysis

不妊治療について知っていただきたいこと(恵愛生殖医療病院)


提供元・ナゾロジー

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