彼について離れない足かせ
ただ、彼の足元には決して離れることのない足かせがついています。これをなんとかしないといけません。
ブログの中でも言っている通り、「事あるごとに心のブレーキがかかり、遊んだりアルバイトといった普通の人が経験することが出来なかった」と足かせがあるために普通の人が当たり前のようにする経験を遠ざけてしまったわけです。
これは並大抵の難しさではありません。普通の人でも、メンタルブロック、つまり「自分はこのくらいの仕事をやるべきで、このくらいの幸せが十分なのだ。高望みしてはいけない」と自分の人生の大きさを決めてしまうことがまま、あります。彼の場合は常人とは比較にならない足かせの重さがありますから、たとえ目の前に「一緒に遊ぼう!」と友人になってくれそうな人間が現れても、「自分なんて」と彼らを遠ざけてしまうのではないかと想像出来ます。
「文才があるから本を書けばいい」このようにアドバイスをする人もブログコメントに見られました。その通りです。彼は文才があるのですから、本気を出せばこの文章と人生経験をマネタイズすることが出来るでしょう。ブログを更新し、広告を貼るだけでも月に数万円、もしかしたらもっと稼げるかもしれません。
ですが、それも断ってしまいそうです。もう彼はあらゆる事に打ちのめされすぎてしまいました。ここから立ち上がって更なる試練に立ち向かえというのは、酷な話なのです。
彼を救う方法とは?
彼のブログを見ていて思う、彼を救う唯一の方法、それはこれしかないと思います。「彼が自分自身で救おうと思うこと」これだけです。私で良ければ友だちになって一緒に話をしてみたい、という気持ちはあるのですが彼がそれを望むかどうかは分かりませんし、それが救いになるかどうかも分かりません。それに人間はどこまでいっても、自分が人生の主役であり、最後に自分を救ってくれるのはいつも自分自身しかいないのです。
事実、彼は救われたいと望んで原付きの免許やアルバイトなどで、少しずつ変化をもたらしています。これは彼自身が救われたいと思い、少しずつ行動を初めた結果なのです。
私は遠くで彼が救われるのを祈るしかありません。人生は遅すぎることはないと思います。求めていたものが違った形で手に入ることで幸福を得るものです。どうか、幸せに。それを心から願っています。
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黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表
文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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