日常で使っても分解されないのか?

ポリエステルを食べる酵素が入ったプラスチック、水と熱だけで分解できる?!
(画像=今回研究で開発された新しいプラスチックのフィルム / Credit:Adam Lau, Berkeley Engineering, UC Berkeley、『ナゾロジー』より引用)

分解されやすいプラスチックとなると、普通に使っていてもすぐ劣化してしまうのではないかという問題があります。

実験では、室温の水につけた状態にした場合、この変性PLA繊維は約1週間で80%が完全に分解されました。これは温度が高くなるほど分解は速くなりました。

しかし、低温や短期間の湿潤状態では、分解されることがありません。

たとえば、このポリエステルで作られたシャツは、着ている最中に汗をかいたり、適度な温度で洗濯を行うことには十分に耐えることができ、室温ならば3ヶ月間劣化することはありませんでした。

多くの人は、できる限り手間をかけず手を汚さずに、素早くプラスチックを分解して堆肥化させることを望んでいます。

今回の研究について、米国国防総省の陸軍研究局のステファニー・マッケルヒニー博士は、「今回の研究は、比較的短い時間で分化する高分子材料を、合理的に設計する基礎となり、廃棄物管理に大きな利点をもたらす可能性がある」と評価しています。

分解のしやすさは、私たちが日常利用する際の、プラスチックの耐久力を下げることにつながるため、なかなか達成は難しい問題です。

少しでも、環境に優しく利用しやすい素材が普及していくといいですね。


参考文献

New process makes ‘biodegradable’ plastics truly compostable(UC Berkeley)

元論文

Near-complete depolymerization of polyesters with nano-dispersed enzymes


提供元・ナゾロジー

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