光で動きと触覚を感知する人工皮膚

触覚を再現した「人工皮膚」がロボットをより人間に近づける
(画像=伸縮性の分布型ファイバセンシング(DFOS) / Credit: Hedan Bai、『ナゾロジー』より引用)

研究チームは、伸縮性のあるシリコンコーティングの中に、2つの光ファイバーコアを埋め込みました。

そして動きを測定するために、片方のコアは透明にし、もう片方のコアに異なる色の染料を散在させました。

これによって、光の波長、偏光、方向の変化から物理的作用に関する豊富な情報を得られます。

物理的な圧力測定とは異なり、光の強度と色だけで詳細な圧力・曲げ・ひずみを測定できるとのこと。それゆえ研究者たちは機械学習アルゴリズムに頼る必要がありません。

触覚を再現した「人工皮膚」がロボットをより人間に近づける
(画像=伸縮性DFOSを用いた人工皮膚手袋 / Credit: Hedan Bai、『ナゾロジー』より引用)

そして実際にテストするため、研究チームはこの新しい光ファイバーを利用した手袋を作成。

装着者が指を曲げたり動かしたりしたころ、動きとその強さに対応する光と色のパターンが計測されました。触覚の詳細な情報が得られたのです。

触覚を再現した「人工皮膚」がロボットをより人間に近づける
(画像=指の動きと、触った部分の感覚が得られる / Credit: Hedan Bai、『ナゾロジー』より引用)

さて、この新しい技術は、将来的に医療ツール・ソフトロボット・義手などの開発に役立つことでしょう。

さらにVR・AR技術にも利用できます。例えば、圧力や動きを測定できるグローブによって仮想空間で車の修理方法を学べることが予想されます。

本来、ナットの締め具合などは感覚的なものであり実践でしか学べませんが、この技術を利用するならグローブから伝わる触覚によって微妙な力加減まで正しく理解できるのです。

さらに遠い未来では、ロボットに触覚を会得させ、これまでは人間しか持ち得なかった適度な力のコントロールや、よりリアルな遠隔操作が可能になるかもしれませんね。


参考文献

techxplore


提供元・ナゾロジー

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