私が他者比較という呪縛から解き放たれたきっかけ
…と、えらそうな事を展開してきた私も人の事は言えません。なぜなら起業してある程度経済的に豊かになるまで、ずっと比較することをやめられなかったからです。ニート・フリーター時代は「同い年の人たちはみんな大学に行っている。それなのに自分は実家の経済状況が悪いせいで…」という劣等感がありました。
大学に入っても、「周囲は両親の経済的支援があるから勉強に打ち込める。自分はお金がないから土日は派遣で働ければいけない」という不満を感じていました。東京に出て働いた時も、「周囲はリアルタイムで22歳からキャリアを積めているのに、自分は5年も遅くなってしまった」と嘆いていました。
気がつけば、他者の動向が気になり、Facebookを覗いてはひたす劣等感と、コンプレックスをこじらせるという悪循環に陥ったのです。
そんな他者比較という不幸の呪いを断ち切ることが出来たのは、奥さんの存在でした。当時、私と彼女として付き合っていた奥さんは超然とした雰囲気の持ち主でした。奥さんは私にこのようにいいました。「もっと自分自身にフォーカスした方がいい。真剣に生きていたら他者なんて気にしているヒマはないはずよ」と。
この言葉がグサリとささり、「自分が他者を気にしていたのは、暇人だったからなのだ」という事実にショックを受けました。しかし、今考えると実に正しい指摘です。
確かに土日に通っていた資格のビジネススクールの勉強の進捗がうまくいかないときや、会社の仕事で躓いている時に、ついつい他者を見てまた落ち込むというサイクルを繰り返していました。つまりは、うまくいかない現状から目を逸らしていただけという事に気づいたわけです。
他者比較ではなく、自分との比較
他者比較という呪いから解き放たれた私は、今はずっと自分自身との比較をするようになりました。そのすべては、成長のためです。1年前の自分、半年前の自分、1ヶ月前の自分、昨日の自分と比較して一歩でも、二歩でも進んでいるか?ということを突き詰めるようにすることで、「迷ったら成長できる道を選ぶ」という思考が出来上がりました。
かつては他人の動向が気になって仕方がなかったのですが、今の私は完全に自己成長を目的とした、自分との比較にフォーカス出来ています。そのようなマインドに変わることで、人生から不幸の芽が消え、ずいぶん生きるのが楽になったものです。
これからは「他者比較をやめれば、幸せになれるよ」ということをお伝えすることで、楽に生きられるヒントを主張していきたいと思っています。
黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表
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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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