長年の習慣を変えた魔法の言葉
それはこんな話です。家のトイレで立ちションをする夫に対し、何度も奥さんが注意をしてきました。「立ってオシッコをすると、周囲に飛び散って掃除が大変だから座ってやって」と。それを言われた夫は「なんで自分の家でトイレくらい自由にさせてもらえないんだ!うるさいな」と反論し、一向に言うことを聞いてくれなかったといいます。この話、「奥さんあるある」ですよね?何回も「もうやめてっていってるでしょ!」と声を荒げるも、夫も「細かいことをいちいちうるさい」と言い返して来たそうです。
しかし、長年言うことを聞いてくれなかった夫の行動を変え、二度と立ちションをしなくなった魔法の言葉があります。それは「最近、◯◯ちゃん(娘の名前)がトイレの中でおもちゃで遊ぶのよね」というものです。それを聞いた旦那は以後、座って用を足すようになったそうです。自分が立って用を足すことで、娘が遊ぶ上で不衛生になることを理解したのです。この旦那さんは娘をかわいがっていましたから、自分の習慣化している行動が自分にデメリットになると理解したらすぐにやめたわけです。
性格を変えることができなくても、コミュニケーションの取り方により長年の悪習を改善させることが出来るのです。
相手の感情を動かすコミュニケーション
今回のこの記事の夫婦関係を改善するコミュニケーションとは、「夫の行動に改善を求める」ではなく、「相手の感情に訴える」というやり方が有効かもしれません。
人は自分を動かそうとするものに警戒心を抱く動物です。詐欺師や、権力者に畏怖の念を抱くのは、相手が自分をコントロールしようとするからです。ですので、「その行為に対して自分は不快に思っているので改善しなさい」といっても改善は難しいでしょう。今回の場合は「私はあなたを信じている」と伝えることが有効な手段になるかもしれません。
例えば太っていることを改善してもらうにあたり、夫は「オレはもう出世コースから外れているから見てくれが太っていても構わないし、他の人からどう思われても構わない」と思っていることでしょう。そんな時に、「あなたはそう思っているかもしれないけど、私、あなたは仕事が出来てこれからまだ上を目指してくれる人だと信じている。それにいつまでもかっこよくいてもらいたい。健康になるためにも、まずはダイエットに挑戦してみるのはどう?」と伝えてみると良いでしょう。
人は自分を信じてくれる人を簡単に裏切ることは出来ません。「信じているからね」、この気持ちを伝えるだけで、好き放題食べてぶくぶくと太ってしまう相手の箸を止める力を持っています。
この記事の奥さんの不満はよく理解できるのですが、夫へのコミュニケーションを図ることで改善できる余地が残っているのかもしれないと感じました。
黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表
文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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