寄せられた声:煙による被害者の嘆きと罵言

近隣家屋や事業所等からの薪ストーブの煙による被害者の声が、数年前から投稿している筆者のブログにも多数届けられている。アゴラの私の記事や、豪州クイーンズランド大学、野北和宏教授の作成された関連動画を視聴されたと思われる方々から、こちらに頂いた声もある。

いずれも、やり場のない嘆きの声、議員や行政の無視無策への怒り、法規制が無い、薪ストーブ使用者や販売会社による不誠実な言い訳対応、煙害を無視して林業振興を理由に薪ストーブを推進する環境省や農林水産省の政策、請願を無視拒否する議員への不満など、それらへの憤怒ばかりであった。

「薪ストーブ被害はこれほどまで酷いのか」と認識を新たにした。

個別事案の紹介はどうかとは思ったが、直接頂いた生の声は非常に大切であり、本稿を特に起こすことにした。

非公開にすべき情報や私信的な内容も多数含まれているので、ブログへのコメントの公開は最小限にしてある。しかし、薪ストーブ被害の実態、不都合な真実を広く知っていただくため、本稿ではそのうちの一部を原文のまま紹介させて頂くことにし、それぞれに筆者の見解を付すことにした。また、寄せられた声には僅かだが攻撃的な内容のものが見られたので、それも敢えて末尾で紹介する。

※再三になるが、本稿以降でも論ずる対象は(1)の冒頭に述べた事例に限るので、再度確認されたい。筆者は、中山間部や過疎地等、生活インフラの不備な地域や極寒冷地での薪ストーブの使用については否定せず、完全禁止を求めるものではない。また、関連記事についても一読をされたい。

反論、ご意見等を持たれる方も当然居られるであろうが、これについてはオープンな言論の場である、言論プラットフォーム「アゴラ」では一般投稿を募集しているので、ぜひ、罵言ではなくそちらで論を交わせたらと願うものである。

薪ストーブ被害者から寄せられたコメント

<1> [薪ストーブと主婦の戦い] 愛内 若葉
ここ数年で薪ストーブ宅が急増し、今まで普通にしていた事ができなくなりました。主婦目線で語ります。


311震災後辺りから急に薪ストーブ宅が急増し、(カーボンニュートラルと称し補助金を、出す自治体がある為)我が家の近隣にも薪ストーブ宅が何軒も建ち、そこから戦いが始まりました。


まず最初は薪を、置いておく薪棚作りから始まり、原木や丸太、建築廃材をチェーンソーや薪割りをしての、薪作り。その時私は0歳児の育児休暇中でした。赤ちゃんが寝ているからゆっくりしてると薪ストーブ宅から、大騒ぎをしラジオの音も大きくしながらガンガンカンカンと大きな薪割り音。赤ちゃんは驚いて泣くし、育児ストレスもある中、薪ストーブ宅の早朝から夕刻までの長時間騒音のストレス。薪ストーブ宅なんか住宅密集地に建てるなよと思いました。


騒音が落ち着き肌寒くなったら、今度は薪ストーブの煙と悪臭。24時間換気孔から燻し臭い臭いが入ってきました。この時から、義務化された24時間換気も停止し、蓋をしています。外を見ると西風にのり、東側の我が家に煙が全部向かってきます。まだ住宅ローンも残る我が家に煤煙が向かってきます。


秋から春までいつ煙と臭いを出されるかわからない為、外やベランダには洗濯物を干せない。 部屋干し除湿機で乾かす。除湿機は電気代結構高いんですよね…


お風呂の後も窓を開けて換気するのが一番早く湿気が逃げるのに、煙が入って来る為に、それもできなくなりました。窓もあけられない結果、お風呂はカビだらけに。


そして今度はコロナウィルスが流行りだし、学級閉鎖だ、休園だ。換気が大事だ換気しろ!っと報道するばかり、しかしどうやって換気をすれば?


外の空気のほうが煤煙で汚い。煙と臭いが周辺物凄い中換気などできるわけがない。私の家は子供に、『玄関開けっぱなしにしたら家の中臭くなるから早く閉めなさい』が教え。


子供たちは、秋から春まではこの煤煙の中を歩いて通学しています。咳をしながら。


うちの子供たちや、周辺の子供たちにも、呼吸に異常が。それ以前は何でもなかったのに、薪ストーブが来てから秋から春までの間、多くの子供たちに喘息症状が出ています。息苦しそうにしており、確実に子供たちの肺を蝕んでいます。


他人の数軒だけの薪ストーブのせいで、何でうちの子が、地域の子供たちが苦しまなければいけないのか。


喘息発作が酷くなり、入院した子もいます。その一家は、こんなところ住めないねと、注文住宅なのに手放して転出してゆきました。


うちでは玄関前には空気清浄機を、常に2台フル稼働。それでも人の出入りで家の中は燻し臭くなる。どこからともなくあの燃焼臭気が入ってきます。空気清浄機のフィルタを見たら、一か月もしないうちに濃い茶色に汚れている。薪ストーブが来る前は、こんなに早くフィルタが汚れるなんて、ありませんでした。


他人の家の中まで入り込む煙の微粒子が大量にある、ということです。


換気不能です。本当に、このままでは家庭内クラスター起きると思い、コロナセンターに電話相談。行政に伝えたらしく、その答えは『個人で裁判してください』と冷酷な答えでした。


勝っても裁判費用の元もとれるかもわからないし、時間も勿体無い個人で裁判はリスクが大きい。どうせそこまでわかっていての、行政側の答えだろうし。補助金まで出しておいて、薪にする雑多な伐採樹木まで配って、その結果の大気汚染に対して、どれだけ行政は無責任なんだよと思います…。


何処に電話や相談しても、どうにもならず、SNSで嘆くしか出来ない現状。薪ストーブの害に困ってる人はみんな同じだと思います。しかし、言論プラットフォームアゴラさん、池田信夫先生、ノギタ教授、青山翠さんは薪ストーブ被害者を見捨てなかった!薪ストーブの排煙規制に希望が見えたので、なんとか薪ストーブの被害に耐え育児主婦業頑張れてます。これからもよろしくお願いいたします。

※筆者注
この方からはその後に別途情報を頂いた。

「私の家の近くの薪ストーブ宅のおかげで、その隣2つの土地だけずっと売れず空き地のままです。そして新規販売時よりも三割ぐらい安価に。それでも売れていません。そのうち半額になった頃に、また薪ストーブ家屋ができたらと思うと寒気がします。この空き地現象は他の薪ストーブ宅の隣でも同じ事が起きています。」

このような内容であった。これが普通の感覚だと思う。長期間、煤煙を出すのが判りきっている場所の隣に、普通の人は土地を買って家を建てたいとは思わない。現代の住宅地に煤煙は生活臭気ではなく、一方的であるならそれは、お互い様とは言えない。

筆者はこのような例も聞いている。不動産業者に問い合わせたところ、

「薪ストーブ家屋の付近ですか・・・あー、ゴミ焼き場とかと同じで、いつも長期間煙が出ているようなら、そこはお値段低くなりますね、一般論として。煙って普通は迷惑じゃないですか、迷惑施設が付近にある、というのと同じです。あと、売るとして、それを告知しないのはまずいです。半年間、連日煙くさい場所にある家は、知らずに買われクレームになる可能性もありますね。」

また、このような例も聞いた。

ある新規造成地が売り出され、そこそこ売れて家も立ち、各世帯の生活が始まり落ち着いた頃、まだ空いている土地に薪ストーブ家屋が、薪ストーブを付ける旨の事前説明や挨拶も無く工事が進み完成し入居した。

まもなく薪割り騒音が始まり、その冬からこの新興住宅地は煤煙に覆われ、その後、まだ空いている土地はずっと空き地のまま。それどころか、今まで注文住宅を建てて住んでいた住人のうち何軒かは、ここには住めない、煙がひどい。と泣く泣く売却し転出してしまった。もちろん、そのような場所なので、売価が下がったであろうことは推測に難くない。

薪ストーブが近隣で使用されることにより、健康被害、生活上の支障のほか、不動産価格への侵害もある。引っ越しを余儀なくされる生活破壊という最大の実害さえも起きている。

<2>
住宅地の最後の空いていた区画に昨年新築した家が薪ストーブでした。しかも引っ越してきて薪割して、その冬にそのまま燃やしていたようです。薪ストーブにしたいなら周囲50m程度家のない場所にするべきではないでしょうか。4月の末まで臭ってきて非常に不快でした。近隣の迷惑、苦情を言う労力など全く分かっていない非常識な夫婦だとしか思えません。


苦情は言いましたが、「薪の乾燥が足りなかったので・・・」とのことで、案の定薪ストーブの常識とも言える乾燥を怠って薪割したその年に燃やしていたようでした。


こんな非常識な夫婦のせいで穏やかな生活ができなくなるなんて・・・

※筆者注
乾燥が足りようが足りまいが、煙と燃焼臭気は出る。建築廃材を薪にして黒煙を出しているケースも報告がある。

何を投入して燃やしても無煙無臭と宣伝する販社もあるようだが、そのようなことはあり得ない。この場合、後からやってきて薪ストーブで迷惑をかけているが、逆のケースもあり、論点をすり替え、「後から来て薪ストーブに文句つけるな」と恫喝された酷い事例も聞いている。

<3>
東京都H市に家を建て住み始めて4年。2019年夏に隣が家を建て薪ストーブをやりはじめました。本当に迷惑しています。


煙突は我が家より低く、距離は車一台分くらい距離しかはなれていません。さらに我が家は24時間換気で強制的に空気を吸っているため(平成15年の法律により設置、稼働が義務になっているので基本的には止めるとこちらが二酸化炭素中毒などのおそれがあり止められません)薪ストーブがはじまると100%くらいわかりますし、煙と臭いが入ってきます。


換気しようにも外が煙ですからもう住めたものではありません。まだ4年しか住んでいませんが家を売ることを視野にいれています。(しかし、煙を気になさらない方がどれだけいてくださるか。家が売れるか心配はつきません)隣家には3度ほどご注意申し上げましたが、やめる気配はなく、この夏もどんどん薪(薪というより材木ぽいものもあり)をつみあげています。薪置きに屋根もありません。


自治会にも相談しましたが、当人同士でやってくださいという冷たい返事。高齢が多い自治会のためか、他に困っている人がいないからという感じで閉口しました。


そこでそのほかにそのようにアクションをすればよいか、なにか良い案をいただきたく、こちらにコメントさせていただきました。


薪ストーブや暖炉がエコというのは全くの幻想ででたらめだと思います。なぜならあれだけ煙がでてあたり一面真っ白に煙り、臭いをまき散らすことはエコでありません。薪ストーブの真ん前にいるときだけ熱効率が良く温まるのはそうでしょう。しかし、燃やすなら排出するガス、煙にも責任をもっていただきたい。

※筆者注
本質的には後か先か、ではない。住宅地にこのような暖房器具を設置する事がそもそも不適切である。住宅密集地に薪ストーブ家屋ができると、このような問題は起きて当然である。

現に規制する法令が無い、近隣の関係を慮って苦情を言い出せない例が殆どであろう。苦情を言うと逆に煙が多くなるという「逆切れ」事案も最近聞いた。

住宅地に薪ストーブを平然と施工する販社が現に多数存在する。彼らは「今の薪ストーブは煙りも臭いも出ません。実害といえる程の迷惑にはなりません。新しい薪ストーブは二次燃焼や触媒もあり、薪は燃やしても完全無害。理解してくださいお互い様で我慢の範囲です。」このように明らかに科学的に虚偽であり、消費者庁案件になり得るような文言で宣伝している現実が多数確認されている。

通常使用でも煙が出て周辺に迷惑になる器具の製造販売、その責任を取るつもりが無い販社の社会的責任はどうか、という批判をしておきたい。

それと最近の報告だが、木材燃焼はカーボンニュートラルではない、再生可能エネルギーではない、とEUの環境委員会が決定した報道は、なぜか日本では一切されていない。この詳細についてはいずれ別稿にしたい。

<4>
初夏から夏にかけて見にきて、自宅を購入してしまったので、最近引っ越してきて煙の酷さに困惑しています。


しょっちゅう煙臭く窓が開けられないのも閉口しましたが、薪ストーブ程度は仕方ないか・・と思っていたのですが、先週から今週にかけて何日か、一晩中、異様な焦げ臭さが周辺に立ち込め、家の中まで悪臭が入り込みます。


目に見える煙という形ではなく、風に流されているうち色が無くなるのでしょうか、うちの周辺では臭いだけが漂っていて、発生源が分からないのですが、これって炭焼きなのでしょうか。


この記事ではNPOということで、葉山のことではないと思いますが、葉山に引っ越して来て初めて、炭焼きサークルというのが町内にあると知り、サークルではもしかして十分な設備でやっていないのではないかと不安です。


本当に、体に悪そうな臭いですし、実は軽度の化学物質過敏症なので肺が痛んでだるいです。周囲の人には葉山でよくなるといいですね、と言われたのに、悪化しそうです。空気がいいどころか、公害レベルです。


過敏症が軽度なので、侮っていたというか、多少はストーブの煙など大丈夫だろうなどと考えて引っ越してしまったのがいけなかったのでしょうか。


どこからの煙なのかをどうやって確かめたらいいのでしょう。どちらに相談したらいいのか分からず、コメントさせていただきました。

※筆者注
冬季の状況を観察してから不動産購入を勧める。政府の無策が継続する以上、このような悲劇は今後増加する。

この方は移住されて後悔している。筆者はこの問題発生地点も調査済みである。筆者の住む葉山町は、元々空気が清浄であったはずだが。

しかし、ここ十年前後くらいから(そのような業者が跋扈し始め)薪ストーブが増加し、それにつれ冬季の大気が汚染されてきている。きれいな空気を期待して移住し、この方は化学物質過敏症と思われる方だが、非常に後悔されている。この自治体と原住民の環境意識の低さを嘆いておられた。行政は「法がないので」との回答だという。