目次
試乗インプレッション
まとめ
試乗インプレッション
まずまたがってみた際のポジションですが、シート高がスポーツスターSの755mmよりもさらに低い705mm(1G時)ということから、身長174cmのライダーには十分すぎる足つき性、もちろんベタ足でした。かつてのラバーマウント・スポーツスターで難点とされた「サイドカバーの出っ張り」(サイドカバーが太ももに干渉して足が外向きになる = 足つき性を阻害する)は当然ながら解消されており、一方で真下に来るマフラーが足に干渉します。ガードが付いているので火傷の心配などはないですが、社外マフラーを検討する際はこの接触にご注意ください。
気になったのは、ハンドル位置の遠さ。前述したとおりスポーツスターSと同じローライズハンドルバーで、座位置とミッドコントロールステップ、そしてローダウンスタイルな点から、腕がやや伸び気味な印象を受けました。ナイトスターでの楽しみ方にもよりますが、スポーツバイクとしてライディングを楽しむならステップ位置をもう少し後方に、クルーザーとして用いるならプルバックしたアップライトハンドルにしても良いかもしれません。
ちょうど自身のスポーツスター XL1200R(2008年式)で試乗ディーラーまで行っていたことから 比較のような試乗ができたのですが、空冷のエボリューションエンジン(排気量1,202cc)と比べると、スロットルレスポンスと走り出しの速さは「さすが水冷」と言わしめるほどシャープなもの。車重も221kgと、平均260kgと言われたラバーマウント・スポーツスターより40kg近く軽量化されており、スムーズなギアチェンジとともに軽やかに加速していってくれます。BMW R nineTやトライアンフ・ボンネビルといった競合となる水冷ツインモデルと遜色ないパフォーマンスを味わえること間違いなしです。
「ライダーセーフティエンハンスメント」と名付けられたハーレー独自のトラクションコントロールシステムがよりしっかりかかる「レインモード」での走行は、どちらかと言うとナイトスター本来の性能にほんの少し重ったるさを感じさせる仕様で、好天に恵まれた際は「ロードモード」もしくは「スポーツモード」で その能力をしっかり解放しながら走ってあげて欲しいと思います。
スポーツスターS試乗時、そのあまりに凶暴な走りに驚かされた「スポーツモード」も、排気量との相性かニュートラルなスポーツバイクとして楽しめるキャラクターになっていました。リッターオーバーのハイパワーマシンの性能をめいっぱい引き出して操ろうと思うと、それ相応のライディングスキルが必要になります。ゆえに「このバイクの性能を引き出しきれるライダーは日本でもそう多くないはず」と スポーツスターS試乗時に感じたのですが、スポーツモードに入ったナイトスターであれば、”必要にして十分”な性能でワインディング走行を楽しめるでしょう。
またまたの比較で恐縮ですが、スポーツスターSと比べて好印象だったのが旋回性の高さ。フロント160mm幅タイヤとフォワードコントロールステップがバイクの旋回性を損なわせてしまう点がスポーツスターSの難点なのですが、パワーが抑えられている側面があるとはいえ、100mm幅の細みタイヤにミッドコントロールステップという組み合わせだけで こうもライディングパフォーマンスが向上するものなのか、と感心させられましたナイトスター。
特にリア側ですが、ブレーキングの甘さが少し気になったところ。個体差なのかもしれませんが、ナイトスターオーナーは前後ブレーキをバランスよく使いながらコントロールするよう心掛けられると良いかと思います。
まとめ
人気モデルであったフォーティーエイトをフォーカスしたスポーツスターSに対して、新型の水冷エンジンでありながら往年のスポーツスターをモディファイしたシルエットで姿を現したナイトスター。特にリアエンドのツインショックとフレームの組み合わせなど、クルーザーとしての側面を持ち合わせていたラバーマウント・スポーツスターの良いところを備えていることから、スポーツクルーザーとして正常進化したマシンだという印象を強く受けました。ツーリング向きかスポーツライド向きか、どちらにも振り切れるし どちらに振っても楽しませてくれる懐の深さがあるナイトスター。オールドファンであっても、これに乗れば新しいハーレーダビッドソンに対する印象が変わるはず———ぜひ一度実車に触れてみてほしいと思います。
提供元・Moto Megane
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