無能な働き者につけたい3つの治療薬
無能な働き者を卒業するためには、どうすればよいのだろうか?下記に筆者が個人的に考えた3つの治療薬を提案したい。
まずは「マーケットの支持を得る」という意識を持つことである。100%でなくてもいい、しかし0%ではダメだろう。仕事とは、つまるところ、第3者に求められることをなす活動だ。筆者はフルーツギフトショップと、英語学習のオンラインスクールを運営しているが、前者は果物を贈り物に使うことで喜ばれ、後者は英語力に悩む学習者に喜ばれるためにサービスを提供している。つまり、マーケットの支持が得られない活動は仕事ではなく、単なる自己満足の趣味だ。一人で勝手にやるなら誰も文句は言わないが、仕事としてやられるのは周囲が困る。無能な働き者は仕事をする立場であるため、支持者がいないことをしてはいけない。
そして「多面的な視点を持つ」ことである。新たな施策を打ち出す時は、メリットとともにデメリットも想定される。たとえば「職場から喫煙室を撤去する!」といった施策を出す場合はどうなるだろうか?タバコを吸わない人はメリットを享受できる一方で、愛煙家にとってはデメリットに感じるだろう。もしかしたら、仕事ができる愛煙家が、一斉に退職してしまう潜在的リスクがある。やめなくても、完全喫煙によって一時的に仕事のパフォーマンスが落ちる可能性もある。この場合、社内で非喫煙者と喫煙者の存在する割合を分析するところからスタートするなど、影響程度の割合を探り、多面的な視点で導入是非を検討するのだ。無能な働き者一人で打ち出した施策が走れば、壊滅的結末をもたらす。ワンマン経営者が暴走することで、会社組織がブラック化するケースがこれが原因だ。
最後に「自分の考えに誤りが含まれる可能性がある」という思考の余地を残しておくことだ。無能な働き者は「周囲の理解は得られていないが、時間の経過によって徐々に受け入れられていくだろう」という具合に、「自分の考えは完全に正しい」という前提で愚策を打ち出す傾向があるのではないだろうか。だが、どんな人でも過ちを犯す。それが優秀な人物でも変わらない。この場合、第3者のオピニオンに耳を傾けることで、より市場に支持される施策へと近づくのではないだろうか。そのためにも、自分の思考の正当性を過信しないことである。
以上があくまで個人的なアイデアだ。無能な働き者に欠けているのは「市場性」であるため、それを取り入れることで善処につながるのではないだろうか。
文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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