漁業はどのように適応すべきか
日本近海における海洋温暖化(海水温上昇)と、昨今対策が急がれている地球温暖化とは全く同一のものというわけではありませんが、密接な関係があるとも考えられています。したがって、地球温暖化を急に止めるのが不可能である以上、海洋温暖化もいきなり止まるということはありえません。
そのため、現在のこの傾向に、日本の漁業が適応していく必要も間違いなくあります。
例えば、北海道で一般的な漁獲物であるサケやサンマの漁獲量が減る一方で、温かい海を好むイワシやブリなどの魚が水揚げされるようになっています。しかし、これらの魚の水揚げのうち、少なからぬ量が「利用法がわからない」という理由で破棄されてしまっている現状があります。
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地域の漁業は後背地での利用に支えられて存在しているものなので、いきなりこれらの魚を使え、食べろと言われてもなかなか難しいという事情があることは理解できます。ただイワシなりブリなりといった魚が美味な食用魚であるのは論をまたず、これらが獲れている以上はそれを活用していかない手はありません。
また、ギンザケやワカメ、コンブなど高水温に弱い漁獲物の養殖業も、温暖化への適応を迫られています。これについては、ギンザケは水温を一定に保てる「陸上養殖」、ワカメやコンブは高温に強い品種への転換などといった対策が行われています。
南北に長く、多種多様な水産物が漁獲・養殖される我が国。温暖化対策についても、他の地域に学び活かすことで「適応」できることがたくさんあるはずなのです。
文・脇本 哲朗(サカナ研究所)/提供元・TSURINEWS
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