最上川の支流なかでも、特に東北一のアユの名川と呼ばれるのが、最上町から舟形町を流れる支流の小国川だろう。県内には、独立河川・庄内小国川があることから、最上小国川とも呼ばれる。今回はアユトモ釣りのオススメ河川として、この河川を紹介したい。
アユ大国の最上川水系「小国川」
「五月雨を集めて早し最上川」。松尾芭蕉の句にも詠われた東北の大河だ。これだけの大河川が越県しないで流れているのは、北海道を除けばこの最上川だけ。山形の母なる川と呼ばれ、県内の75%を流域面積に持ち、支流は400を超える。その流れのほぼ全域にアユが生息しており、アユ釣り河川も数えきれない。
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小国川のアユは『松原鮎』と呼ばれ、味、香り、容姿ともに最高で、高値で取引される。また、同水系に放流されるのは前年の秋に下流域で採捕されたアユを一代限り人工飼育された種苗で、天然種に近く地域的特異性が保たれている。
アユが着くのには時間がかかる
この川に魅せられ、首都圏から移り住んだ釣り人がいる。同川でフィッシングガイド兼オトリ店を営む下山久伍さん。春のヤマメ、初夏のサクラマス、夏から秋のアユと同川のすべてを知り尽くす。
私がアユ釣行した際には、当日の最低ノルマ50尾が課せられる。川を知り、釣り人を知った、同川の重鎮だ。彼のアドバイスは適格だが、場所は教えてくれない。なぜなら、前日に釣れた場所は必ずと言っていいほど釣れないからだ。
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水温が低いためアユの着くのが遅く、二~三日はかかる。前日に大釣りしても、翌日の釣果は半分以下と思ったほうがいい。釣り方が変われば釣果も変わるだろうが、1人で釣るなら、前日に釣れた場所に入ることは愚策だ。できれば、午前と午後は違う釣り場を攻めたほうが釣果は伸びる。
また、同川はメジャーな大会が開催される河川でもある。下流域の大会エリアは初期からトーナメンターの下見が多いので避けたほうがいい。釣り場選びの際の参考にしてほしい。