肩のワークアウトは、多関節種目から2、3種目、アイソレーション種目から3、4種目選ぶようにする。また、アイソレーション種目は特に三角筋の後部&側部ヘッドを強く刺激する種目を多めにし、肩以外の種目で間接的な刺激を受けやすい前部ヘッドの種目は1種目程度で十分だ。
文:by Sarah Chadwell, NASM-CPT
翻訳:ゴンズプロダクション
多関節種目
オーバーヘッドプレス
肩を発達させる多関節種目の中で最も重視したいのがこれだ。この種目を行わずして肩の発達はないと言っても過言ではない。脚の種目としてスクワットを重要視するのと同じくらい、肩には必ずオーバーヘッドプレスを行いたい。
スタンディングでもシーテッドスタイルでも行うことができるが、スタンディングなら身体全体を緊張させることになるので、より難易度が高まる。一方、背もたれつきのベンチに座って行うと姿勢が安定するので、より高重量が扱えるはずだ。どちらかひとつに決める必要はなく、ワークアウトのたびに入れ替えるようにしてもいいだろう。
ここではスタンディングでのやり方を解説する。
①両足を肩幅より広めに開いて立つ。
②手幅は肩幅より広くしてバーベルを握る。両肘を曲げて肩の高さにバーベルを保持する。このとき、肘を外側に開いたりせず、肘は真下に向けておく。これがスタートポジションだ。
③全身を緊張させたまま、頭上にバーベルを押し上げる。バーベルが顔の前を通るとき、バーで顔を擦ってしまわないように注意しよう。
④バーを頭上に押し上げて、肘が伸びきったところがトップポジションだ。トップで一旦停止しよう。
⑤ゆっくりスタートポジションに戻って1レップだ。
⑥レップ数にかかわらず3〜5セ ットは行うようにしたい。
シーテッド・オルターネイト・ダンベルプレス
シーテッド・ダンベルプレスでは、両手にダンベルを保持し、両手のダンベルを同時に頭上に押し上げるやり方が一般的だ。もちろんそのやり方で問題はないのだが、より筋緊張時間を延長させるなら、左右交互に行うオルターネイトにチャレンジしてみよう。
左右交互に動作を行うことで、筋緊張時間が延長されるというのはどういうことか。これは、押し上げていない側は休んでいるのではなく、緊張した状態でダンベルを保持しているので、バランスを取るために微妙に出力を加減することになるためだ。
なお、このオルターネイトのスタイルでダンベルプレスを行うなら、通常のダンベルプレスよりも軽い重量を選択すること。選択した重量が重すぎると、いつもより少ないレップ数で限界が来てしまったり、動作が不安定になってケガをする可能性が高まってしまう。
①ベンチ台の端に座り、両手にダ ンベルを保持して頭上に押し上げる。両手のひらは正面に向いている。これがスタートポジションだ。
②スタート地点から、ゆっくり片側のダンベルを下ろしていく。 肘が90 度の角度になる地点まで ダンベルを下ろしたら、それがボトムポジションだ。
③ボトムで一旦停止したら、再びダンベルをスタート地点まで押し上げる。反対側のダンベルはこの間、腕を伸ばしたまま頭上に押し上げた状態で保つ。動作する側がトップに戻ってきたら、今度は反対側のダンベルを同じようにしてボトムまで下ろし、スタートまで押し上げる。こうして左右交互にダンベルの上げ下ろしを行う。
④片側に10〜12レップずつを3、4セット行う。
フェイスプル
三角筋の後部ヘッドの種目としておすすめだ。後部ヘッドを肥大させることは三角筋の厚みを増すことに直結するので、ぜひ前部ヘッドと同じだけ後部ヘッドも発達させよう。
フェイスプルが効果的なのは後部ヘッドだけに限らない。僧帽筋や上背部も刺激されるので、上半身のV字シェイプに貢献してくれるはずだ。
この種目が高く評価されるのにはもうひとつ理由がある。それは肩関節を保護するローテーターカフも強化してくれるという点だ。肩の深部にあるローテーターカフの機能を正常に保てればケガの予防につながる。ケガが予防できれば、肩をはじめとした上半身の種目に全力を注ぐことができるのだ。 そういう意味からもフェイスプルをぜひともワークアウトに組み込んでほしい。
①ケーブルマシンのプーリー(滑 車)を高い位置にセットする。 ケーブルの先端にはロープハンドルを取り付ける。
②ケーブルマシンに向かい合うようにして立ち、ロープハンドル をオーバーハンドグリップで握る。
③ロープハンドルを握って腕を前方に伸ばし、そこから一歩後退してケーブルに負荷がかかるように立ち、位置を調整する。これがスタートポジションだ。
④ロープハンドルを、顔をまたいで耳の横を通るように引き寄せる。このとき、肘は外側に開くようにする。
⑤ケーブルを引ききったとき、ロープハンドルの中央部分が顔の真正面に来ているはずだ(だからフェイスプル)。また、ケーブルを引ききったとき、肘は外側に向いているだけでなく、高く持ち上げられていなければならない(脇を開いておく)。この種目では肘が下がらないように注意しよう。
⑥ケーブルを引ききったら一旦停止し、肩と上背部を意識して収縮させる。その後、スタート地点までケーブルを戻して1レップだ。
⑦12〜15レップ×3〜5セット行う。
バーベル・アップライトロウイング
この種目は三角筋の側部ヘッド、後部ヘッドだけでなく僧帽筋にも刺激が伝わる。一般的に、アップライトロウイングは肩だけでなく背中にも効かせることができるので、体の背面を総合的に刺激する種目として理解しておくといい。
シンプルな種目に思えるかもし れないが、正確なフォームで行わなければ効果を最大限に引き出すことはできないということは覚えておこう。
①EZバーを肩幅より狭い手幅で、オーバーハンドで握る。
②バーを真上に引き上げる。アゴの高さまでバーを引き上げたらトップポジションだ。動作中、体の前面をバーで擦るようなつもりで、バーはできるだけ身体に近づけておく。
③トップで一旦停止したら、ゆっくりスタート地点まで戻す。
④10〜12レップ×3、4セット行う。
45度ダンベル・インクライン・ロウイング
この種目は三角筋の側部ヘッドだけでなく後部ヘッドにも刺激が伝わるはずだ。側部ヘッドと後部ヘッドは、三角筋を構成する3つのヘッドの中で前部ヘッドの発達より劣りがちなので、この種目を積極的に行ってみるといいだろう。
①45度の角度にセットしたインクラインベンチ台にうつ伏せになる。両手にダンベルをそれぞれ 保持し、腕はだらりと下ろしておく。
②肩甲骨を中央に寄せるようにして、肘から腕を上方に引き上げる。
③肘を肩の高さまで引き上げたら、トップで一旦停止した後、スタート地点までゆっくり腕を戻して1レップだ。
④8〜12レップ×3、4セット行う。