ドイツのマックス・プランク化学生態研究所は、16日、サウジアラビア北部のネフド砂漠にて、約12万年前の現生人類(ホモ・サピエンス)の足跡を発見したと発表しました。
当時のネフド砂漠は、今よりずっと湿潤なサバンナ地帯にあり、足跡の場所は浅い湖となっていました。
また、人類の他に数百におよぶ動物の足跡も見つかっており、湖は一種の給水場として使われていたと見られます。
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アラビア半島はかつて草食動物の「オアシス」だった
少数グループで移動中?
アラビア半島はかつて草食動物の「オアシス」だった
今日のアラビア半島は、広大な砂漠が広がる乾燥地帯であり、大昔も人類や動物にとっては居住に適さない過酷な環境と考えられていました。
ところが近年の研究で、緑豊かで湿度が高く、草原が茂っていた時期があったことが明らかになっています。
それが、約13万〜11万5000年前まで続いた最後の間氷期(氷期と氷期の間の比較的温暖な時期)です。
研究主任のマシュー・ステュアート氏は「当時のアラビア半島は、今日のアフリカのサバンナ地帯に似ており、ラクダやゾウ、カバなどの大型動物も豊富にいた」といいます。
足跡はこの時期に残されました。
少数グループで移動中?
足跡は全部で約240個見つかっており、7つが現生人類のものと断定されました。
さらに、その内の4つは、足の形やサイズの違い、一定の距離間、進む方向が同じことから、2〜3人で移動していた人々の足跡と推測されます。
年代測定の結果、約12万1000年〜11万2000年前のものと判明しましたが、この時期はネアンデルタール人(40万〜4万年前)も生きていました。
しかし、当時の中東にネアンデルタール人はいなかったこと、足跡から推定される身長や体重が異なることから、彼らのものではないと判断されています。