動物園のSNS発信から「くっついている姿がかわいい!」「きなこもちみたい!」と話題になったグンディ。
とはいえ国内で飼育されているのは2か所に留まり、その生態についてもあまり知られていません。
そこで今回は西日本で初めてグンディの飼育を行っている神戸どうぶつ王国に取材に伺い、グンディについてのお話を聞かせていただきました。
本記事では話題の動物グンディについて、基本的な情報から飼育員さんのお話を聞いてわかった意外な側面まで、詳しくご紹介していきます。
目次
砂漠の妖精「グンディ」ってどんな動物?
かわいいコミュニケーションは「におい」が重要
砂漠の妖精「グンディ」ってどんな動物?
グンディはアフリカ北部の砂漠の岩場に生息する原始的なげっ歯類です。
体長20cm、体重300gほどとげっ歯類の中でも比較的小さく、岩のすきまからちょこっと顔を見せる様子などがかわいらしいことから「砂漠の妖精」とも言われています。
また、高い社会性を持つことでも知られており、コミュニケーションを取るためにキスのような仕草をとったり、個体同士が折り重なって休んだりする様子も見られます。
こういったコミュニケーションの様子がSNSで話題を呼び、一躍人気動物の仲間入りを果たしました。
実はヤマアラシの仲間?後ろ足を見ると納得!
大きさや見た目はモルモットに似ているグンディですが、実は分類学上はヤマアラシ亜目となっています。
とはいえ、ふわふわして丸っこいグンディと、硬いとげのような毛に覆われたヤマアラシではまったく共通点がないように思えます。
しかし、全身ふわふわのように見えるグンディですが、後ろ足には太くて硬い剛毛があるそうです。
実際に飼育員さんから写真を見せて頂きましたが、後ろ足の爪の部分を覆うように生えたその剛毛は毛と呼ぶにはあまりに太く硬そうな質感でした。
あくまで私の感想ですが、ヤマアラシのとげにも少し似ているように感じ、一般的な小型げっ歯類の「ふわふわ」な印象とは異なっていたのがおもしろかったです。
グンディはこの後ろ足の剛毛を櫛のように使って毛づくろいをするのだと言います。
後ろ足の甲の部分は普通の毛が生えていて、その普通の毛と爪の間に生えている剛毛はよほど近づかない限り見ることができません。
敵を撃退するためでなく、自分の毛づくろいのために硬い毛を持っているというのも何ともユニークですね。
「おもちみたい」な見た目には理由があった!
グンディはその丸々した体と薄茶色の見た目から「きなこもちみたい」とよく言われています。
また、重なり合ったときに下になったグンディはぺちゃんこに平べったくなるので、そういった様子も本当におもちのようです。
しかし、飼育員さんによるとこういったおもちのような特性もグンディが過酷な砂漠で生き抜くために進化した結果なのだと言います。
「狭い岩と岩の間に入り込めるように、肋骨が開いて平たくなれるんです。」
敵を察知したときや、過酷な砂漠の暑さから逃れるために、しばしば岩と岩の隙間に逃げ込むグンディ。
取材中も非常に狭い隙間を難なく出入りするようすが何度も見られました。
スムーズに岩場を行き来するために骨の作りまで変わってしまったなんて驚きですね。
かわいいコミュニケーションは「におい」が重要
グンディの人気のきっかけともなったのがキスのような仕草。
これは実はお互いに鼻を近づけてにおいをかぎあっているのだそうです。
グンディのコミュニケーションのキーワードとも言えるのが「におい」です。
においに敏感なグンディは、人間が直接触れた場合なども異なるにおいを察知してその個体を攻撃してしまうことがあるのだとか。
このため、飼育員さんもグンディに触れる際には細心の注意を払っています。
「グンディに触るときにはかならず手袋をして触れます。また怪我した個体などを保護する際にも長く保護すると群れに戻すのが大変なので、タイミングをはかるのがとっても難しいんです。」
はたから見ればかわいいグンディのコミュニケーションですが、ひとたび変化を感じれば関係性が崩れてしまうあたりかわいいだけでは済まないようです。