共感力や集中能力の改善も

脳にAIを埋め込んで「気分を変える」実験が行われる(米研究)
(画像=MRIスキャン画像。この装置は多くの精神健康状態を治療し、また治療へのより良い反応を実証するために使われると思われる、『ナゾロジー』より引用)

この実験に参加したのは、てんかんの発作を追跡するため、すでに脳に電極を埋め込んである6人です。この電極を通して、研究者たちは一日中患者たちの脳で何が起こっているのかを追跡することができました。

古いインプラントでは刺激を与えるタイミングは選択できませんでしたが、新しいアプローチによって、必要な時に刺激を与えることができるようになったのです。

研究チームは、患者の脳の活動を1から3週間の間追跡することで、患者の気分を「復号」するアルゴリズムを作ることができました。そして意思決定や感情を司る脳の領域に刺激を与えることで、参加者の一連のタスク処理能力が有意に改善することを発見したのです。感情障害は集中力や共感能力に対して問題がある場合が多いですが、そのタスクには、数字画像のマッチングや表情からの感情の読み取りも含まれていました。

研究者が人々の心を読めるようにはならないにしても、このチップが多くの倫理的関心を呼び起こすことは避けられません。研究チームのエンジニアリングディレクターであるアリク・ウィッジ氏は、「私たちは、感情を示す活動をも利用することになるだろう」と話しています。

最近は人工知能も「家族が欲しい」と語る時代。一見画期的な研究に思えますが、自分の脳にAIを埋め込んだとき、それは果たして以前までの「自分」だと言い切れるのでしょうか。

via: dailymail / translated and text by nazology staff

提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功