アンティークウオッチの魅力として、ムーヴメントの審美性を挙げる人も多い。かつての機械式時計は、シースルーバックが一般的ではなく、ユーザーがほとんど目にする機会がなかったにもかかわらず、ムーヴメントに丁寧な仕上げを施し、美観にこだったメーカーは少なくなかったのである。
この審美性という点からも愛好家から高い人気を博すのが、手巻きのクロノグラフだ。機構の複雑さが生み出す緻密な造形美は、機械式の醍醐味を十二分に堪能できる。

もっとも、当時クロノグラフムーヴメントを製造できたメーカーはひと握りだったため、種類で言えばそれほど多くない。ただ、バルジューやヴィーナスといったムーヴメントメーカーが様々なメーカーに供給したため、デザインと価格においてはそれなりに選択の幅がある。
今回、ビギナーにもおすすめできる手巻きクロノグラフとしてピックアップしたのは12時間積算計を備えたバルジューの72、ヴィーナスの178、オメガも採用したレマニアの27CHRO C12、そしてロンジンのフライバッククロノ30CHの四つ。いずれも高い機能性と信頼性、優れた審美性で評価を得るクロノグラフムーヴメントだ。

バルジュー[Cal.72]

【アンティーク時計】造形美と機能性を兼ねそなたビギナーにおすすめの「クロノグラフ」4選
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

懐中時計用クロノグラフの設計を腕時計用に改めたCal.23。これに12時間積算計を加えたのが72だ。しばしば比較されるヴィーナスとの最大の違いはリセットハンマーで、72ではダイレクトリセット式を採用する

レマニア[Cal.27CHRO C12]

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(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

オメガからの要望に応え、アルバート・ピゲが設計を手掛けた12時間積算計付きのクロノグラフ。これのオメガ版がスピードマスターにも搭載されたCal.321である。性能は同じながら、レマニア名ならば相場はお値打ちだ