永遠に喜びや楽しさを失わないために

快楽の神経細胞が死滅する早期認知症が、誤って「うつ病」と診断されていたかもしれない
(画像=早期認知症になっても治療によって進行を防ぐことができる / Credit:Canva、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究により、喜びや楽しみの喪失が単なる「うつ病」ではなく、早期認知症という重大な結果と関連し得ることが示されました。

またMRI画像の分析により、早期認知症に特徴的な脳の萎縮パターンが判明しました。

これにより、人々の無快感症が単なる「うつ病」によるものか「早期認知症」によるものかを判別できるようになったのです。

認知症の治療薬には症状の悪化を防ぐ効果があるものが数多くあり(元通りにはならない)、快楽をうみだす脳領域が完全に死滅してしまうまで、多くの時間を稼ぐことができます。

早期に正しい診断が行えるようになれば、双方の患者にとって良い状況を生み出すことができるでしょう。

早期認知症の症状は、通常40〜65歳の間に始まります。

もし現在、喜びや楽しみが感じられない状態が長く続き、さらにうつ病の治療に効果を感じられないならば、原因は早期認知症による脳の萎縮かもしれません。

気になるならば、1度MRIで脳に異常がないか調べてみるのもいいでしょう。


参考文献

The Brain’s Pleasure System Wastes Away in Early-Onset Dementia, Study Finds

元論文

Uncovering the prevalence and neural substrates of anhedonia in frontotemporal dementia


提供元・ナゾロジー

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