【木村ヒデノリのTech Magic #113】 ようやく日本にもこの流れが来てくれた。「Video Doorbell 4」はこの分野で実績のあるRing社の製品。2018年にAmazon傘下に入ったことも話題を呼んだ。国内では長らくアイホンとパナソニックの2強状態だったが、ついに黒船が来たといった様相だ。Amazonに先立つ形で2021年8月にGoogleが「Nest Doorbell」を投入。筆者はすぐに試したものの定着しなかった経緯がある。今回はどうしてNest Doorbellが定着しなかったのかも踏まえて、Video Doorbell 4のメリット・デメリットを解説していきたい。

従来のドアホンと何が違う? Amazonの「Ring Video Doorbell 4」が大本命と言える理由
(画像=カバーを変えることで玄関の雰囲気に合わせられる
「Video Doorbell 4」(2万3980円、盗難保証付き)、『BCN+R』より引用)
従来のドアホンと何が違う? Amazonの「Ring Video Doorbell 4」が大本命と言える理由
(画像=今ならパーソンアラートなどを含む有料のRingプロテクトプランが
2023年3月まで無料で使える、『BCN+R』より引用)

「レスポンスが良い!使える!」が最初の印象

とにかくファーストインプレッションが良かったのがVideo Doorbell 4だ。2018年からパナソニックの外でもドアホンを使っていた筆者だが、アプリのUIや起動までの遅さ、通話の不安定さにものすごく不便を強いられていた。早く代替製品が出ないかと待ちに待って3年越しで購入したのがGoogleのNest Doorbellだったがこれも却下。ボタンが押されてから応答までの遅延が気になったのだ。

従来のドアホンと何が違う? Amazonの「Ring Video Doorbell 4」が大本命と言える理由
(画像=筆者のユースケースには合わなかったNest Doorbell。
とはいえ、Googleのエコシステムでスマート化している家にはこちらの方が向いているだろう、『BCN+R』より引用)

こうした経験からVideo Doorbell 4にもあまり期待していなかったがとりあえず試してみようと購入。すると驚くことにかなりスムーズなレスポンスだったのだ。スペックや開発力にそこまでの差はないと思うのだが、差ははっきりとある。もちろん外でもドアホンのような有線接続の従来製品と比べると見劣りする。しかし、自宅で応答する以外の選択肢を兼ね備えていてこのレスポンスなのは総合点で見れば優秀だ。

従来のドアホンと何が違う? Amazonの「Ring Video Doorbell 4」が大本命と言える理由
(画像=筆者がこれまで使っていた外でもドアホン。
フラッグシップモデルは当時5万円以上と高額だった、『BCN+R』より引用)

さらにこのアクセサリーの存在が決定打になった。Chime Proと呼ばれるスピーカーと中継機が一体となったデバイスは、室内用のチャイムとして機能するほか、常夜灯やWi-Fiネットワークの拡張用としても使えるのだ。Google Nest DoorbellにはこうしたオプションがないのでNest Hubが無い場合はアプリで応答するしかない。

スマホで出られるのは便利ではあるが、通知音が非常に聞こえづらい。室内であればどこかに置いてある場合も多いだろう。一方でChime Proがあればスマホが手元になくてもこれまで通り「ピンポーン」と呼び鈴が鳴ってくれる。この選択肢の有無は日常使いする上でとても重要だった。

ドアホンの日本市場は完全にガラパゴスだった

これまで選択肢がなかったので不便さから目を背けていたが、Video Doorbell 4を使ってみてわかるのは国産ドアホンの合理性の無さだ。これまでの慣習を踏襲するがゆえにあらぬ方向へ進化しており、便利とは言い難い。それでも売れていたのは選択肢がなかったからだ。

従来のドアホンと何が違う? Amazonの「Ring Video Doorbell 4」が大本命と言える理由
(画像=独自の進化を遂げる国産ドアホン。
設置のハードルが高そうというのが一般的な印象だ、『BCN+R』より引用)

例えば、設置に必ず工事が必要(一部商品は工事不要だがラインアップの中ではあくまでライトユーザー向けになっており機能が十分ではない)で、拡張性も皆無。一方でVideo Doorbell 4はドライバー1本で交換することができ、電源もバッテリー駆動だ。

考えてみればそこまで電力を使うわけでは無いので現在ならバッテリ運用でも十分。実際筆者のケースではバッテリ1本で1ヶ月ほど動いたので、2本を交互に使うことで十分間に合っている。最後の砦のように残っていた国内ドアホンの市場だが、今後こうしたスマートドアベルで置き換えられることは明白。MD(ミニディスク)のような運命を辿るのは時間の問題だろう。

従来のドアホンと何が違う? Amazonの「Ring Video Doorbell 4」が大本命と言える理由
(画像=Video Doorbell 4には角度調節台や取り付け部品も付属。
ドライバー1本で既存のドアホンと交換できる手軽さだ、『BCN+R』より引用)