日本と中国の食糧問題の深刻さ

例えば、日本は食糧の60%以上を海外から輸入している。食糧輸入国だ。だから、世界の食糧事情を理解し、緊急時には対応しなければならない。また、世界最大人口を誇る中国にとっても食糧問題は大きい。

中国は耕作可能な土地は世界の1割しか占めていないが、人口では世界の2割を占めている。国が養わなけれならない国民の数が収穫できる耕作地の2倍以上だ。その結果、中国は必然的に日本と同様、食糧輸入国とならざるを得ない。14億人の国民を養わなければならない中国にとって、安全な食糧確保は国の最大課題だろう。

同時に、中国の食糧事情は世界にも大きな影響を及ぼすことになるから、世界各地で食糧争いが生まれる危険性が出てくる(「中国の『食糧安全保障』政策に警戒を」2021年5月12日参考)。

人類は過去、食糧、水源の獲得から始まり、領土の拡大、核兵器製造など軍事力の強化まで、その存続と勢力拡大のために戦争を繰返してきた。そして21世紀、人類は再び食糧争いを引き起こす危険性が出てきているわけだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2022年6月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

文・長谷川 良/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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