「業務スーパー」を展開する神戸物産が絶好調だ。最新決算の数字が良かったこともあり、時価総額は1兆円に迫る勢いで推移している。新型コロナウイルスの影響による「巣ごもり消費」やプライベートブランド(PB)開発などが業績向上に寄与した格好だ。

営業利益、経常利益は前年同期比30%台の増加

神戸物産は6月11日、2020年10月期第2四半期の連結業績(2019年11月~2020年4月)を発表した。 

  • 売上高:1,760億6,900万円(前年同期比21.8%増)
  • 営業利益:123億9,300万円(同32.9%増)
  • 経常利益:124億6,500万円(同31.4%増)
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益:75億4,600万円(同24.7%増)

    売上高は大幅に伸びたが、それ以上に目を見張るのが利益額の増加だ。営業利益と経常利益は30%台の増加を記録している。こうした決算の好調ぶりから、株価は決算の発表後に上場来の最高値を記録した。6月26日時点の株価は6,180円、時価総額に換算すると8,454億2,400万円だ。6月26日時点では日本国内で上場している企業において、時価総額で150位につけている。

    149位は三菱重工業、148位は航空大手のANAで、神戸物産は超有名企業と肩を並べるまでになっているのだ。

    「業務スーパー」の強みは製販一貫体制による安さ

    神戸物産は兵庫県に本社を置く東証一部上場企業だ。販売小売事業や外食・中食事業を展開しており、「業務スーパー」はそれらの事業の柱である。店舗数は2018年10月に800店舗まで増え、2020年5月末時点では全国で865店舗を展開している。

    緑色の背景に白抜きゴシック文字のあのインパクトある看板を一度は目にしたことがある人は多いはず。業務スーパーというブランド名だが、一般客もメインターゲットに商品を販売し、価格帯の安さなどで支持を広げてきた。

    価格帯の安さは、神戸物産グループで商品製造から販売までを一貫して手掛けていることが原因。店舗で販売している輸入品が低価格なのも、多店舗展開の強みを生かし、一度に大量の商品を業者から仕入れているからだ。

    商品陳列をシンプルにし、店員による品出しの負担も軽減している。こうした工夫によって人件費を抑えていることも、業務スーパーの商品価格の安さに結びついている。

    コロナ禍による「巣ごもり需要」が神戸物産の追い風に

    今回の決算で特に注目すべきは、日本経済に大きなダメージを与えている新型コロナウイルスの感染拡大の最中でも、神戸物産が好調な業績を維持した点にある。

    コロナ禍においても神戸物産の業績が好調だった理由は、「巣ごもり需要」が高まったこためと考えられる。自治体が飲食店などに対して営業自粛の要請をするなか、自宅で料理をする家庭が相対的に増えた。外食をせずに内食のために食材を購入する人が増えたのだ。

    また、消費者は感染拡大のリスクを減らすため、店舗への来店頻度を極力抑えようとする。来店回数を減らすためには一度に食材を多く買う必要があるが、業務スーパーは1商品の量が多く、価格も安い。コロナの状況下では、業務スーパーは消費者にとって最適なスーパーだったのだ。こうして、コロナ禍は神戸物産の業績に追い風をもたらした。

    同社の第2四半期の連結業績の売上高の伸びは前述の通り21.8%増だが、業務スーパー単独の売上高は24.3%増を記録している。

    独自のプライベートブランドで、価格競争力をさらに強化

    神戸物産が業務スーパー向けのプライベートブランドの開発に注力していることも、業績を伸ばした要因の一つと言えよう。メディアにも大きく取り上げられ、同社は「新たなお客様の来店に繋がりました」(※決算資料より引用)と説明している。

    自社製造で価格競争力が高まれば、コロナ禍による節約志向の消費者の心をさらに掴むことができる。新型コロナウイルスの感染の完全終息はまだ先とみられるなか、業務スーパーの商品に対する支持はさらに広がっていく可能性が高そうだ。

    2020年10月期通期の連結業績予想については慎重な見方

    新型コロナウイルスが追い風となっている神戸物産だが、2020年10月期通期の連結業績予想については慎重な見方をしており、これまでの予想を据え置く形である。

    具体的には、売上高は前期比4.1%増の3,118億円、営業利益は同5.5%増の203億円、経常利益は同4.5%増の203億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同10.3%増の133億円という数字だ。

    国内の物流網や輸出入などにも大きな影響が出ていることを考えると、いまだ予断を許さない状況だと同社の経営陣も感じているのだろう。引き続き業績を伸ばしていけるのか、注目が集まるところだ。

    文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
     

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