解雇されるから真剣になる
恥ずかしながら、筆者は過去に数回会社からクビになった経験がある。その時は大きなショックを受け、「自分は必要のない人間だ」「もう世の中からいなくなってしまいたい」と思えるほど苦しい経験をした。だが、大きい目で見れば解雇の経験によって「自分の付加価値を高め、仕事では結果を出せる力を持たなければ」という強い危機感と自分を高める意欲が生まれた。その時の経験は起業した今も生きており、「自分は市場に生かされているだけ。マーケット感覚を失えば、要らない人になる」と常にハングリー精神を持ちながら、日々ビジネスで勝負している。
だが、「45歳定年」と言われて必死に働くか?と問われれば正直、かなり疑問符である。なぜなら同じ会社で45歳以降も必要な人材として残るには、極めて高い技術力があるとか、係長や部長といったマネージャーになる必要があるからだ。前者は努力で可能性があるとしても、後者はそもそも昇進の椅子がなければ実現できない。特に今後はリモートワークが促進することで、中間管理職のニーズは明確に減少した。45歳までと時間制限を設けるなら、それ以降の生き残りのための明確なロードマップを示す必要はあるだろう。
◇
同氏の発言には批判が寄せられたが、「現行の終身雇用前提の働き方では、今後は通用しない」という点と、「人材流動性を高める必要性」については正しいと個人的に感じる。労働市場における絶対的に肯定される解はまだ出ていないが、「自助努力で市場価値を高める」という点については否定されることはないだろう。
文・黒坂 岳央
■最新刊絶賛発売中!
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka
■YouTube動画で英語学習ノウハウを配信中!
文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?