クロダイより美味しい?
クロダイは釣りの対象として人気が高い魚ですが、身はやや水っぽく、生育環境によってはくさみもあることから、食用魚として人気のタイ類の中では比較的評価の低い魚です。そしてキチヌはクロダイほどの知名度もなく、クロダイの仲間であることから、こちらも「あまり美味しくない魚」と思われているフシがあります。
しかし漁師や釣り人など魚を食べ慣れた人間には「キチヌはクロダイよりうまい」と言われることが多いです。この理由について、上記の通りキチヌがクロダイよりも魚食性が強いからだという人もいますが、はっきりした理由はわかりません。

(画像=刺身にしても美味しい(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より引用)
キチヌの旬は初夏
更にこのキチヌには、食用にするにあたって非常に有益な点があります。それは「クロダイやマダイと旬が重ならない」こと。
クロダイやマダイなど、タイ類の多くは晩春に産卵期を迎えます。そのため産卵直後の初夏に一番味が落ち、この時期のものを「麦わら鯛」と呼んで敬遠します。しかしキチヌは秋が産卵期であり、そのため初夏頃に身に脂を貯め、旬を迎えるのです。
旬のキチヌは柔らかい身質ながらもしっかりとした旨味があり、脂も乗っていてとても美味しい白身魚です。鰭が黄色いため見た目もよく、食材としてももっと注目されても良いタイであると言えるでしょう。
文・脇本 哲朗/サカナ研究所/提供元・TSURINEWS
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