コスト意識を高める
つぎに、専業デザイナー・新人デザイナー共通の課題である「コスト」について考えたいと思います。
残念ながら「コスト意識」の低いデザイナーの方が少なくありません。
会社をやめ、デザイナーとして独立した方の話を聞く機会がありました。その人は、自分の売上時給(見積時給)を「派遣社員の平均額」に合わせているそうです。
これは「勤め人」視点のコスト意識でしかありません。フリーランスは個人事業者、つまり「経営者」です。当然、経営者視点でコストを意識する必要があります。
勤め人は、仕事をする机やパソコン、電気代、冷暖房費、事務所家賃、さらには福利厚生など会社が負担してくれています。フリーランスになったら、これらを全て自分で賄わなければならないのです。
今あるパソコンもいずれ壊れます。耐用年数を考え、買い替え資金を積み立てておかなければなりません。また、これまで不在だった、昼間の光熱費もばかになりません。こういった、これまで負担してこなかった費用を全て足し、自分の稼働時間で割って算出する。これが時間当たりの「原価」です。この原価を上回る金額を、「売上」時給として設定する。これが経営者視点です。
当然、その売上時給より低い仕事の方が多いと思います。その分「赤字」です。しかし、この「赤字」を認識することで、今後の仕事の受注内容や、単価交渉の成果が大きく異なってくるのです。
ぜひ、ご自身の原価を把握いただきたいと思います。
副業の受け皿となりうるか
最後に、クラウドソーシングが副業の受け皿となりうるか、について考察します。
先に、平均受注月額「5、000円未満」の利用者が68%を占める、というデータを提示しました。一方、ロゴを作成するのに必要な、イラストレーターやフォトショップなどソフトウェア(Adobe Creative Cloud)の費用は月額「6,248円」。これだけで赤字になります。
また、ベテランであってもコンペでの勝率は4~10%でした。
こういったことを考慮すると、ロゴなどコンペ形式での利用を、副業とすることは難しそうです。割ける時間・スキルにもよりますが、「プロジェクト型」への参加を検討したほうが良いでしょう。