モロッコによる海底資源の開発を傍観するようになるスペイン

モロッコが発掘調査を開始するというのに、スペインは駒を進めずにいるということはスペインが保有する自然資源とカナリア諸島の経済の発展を危険に晒すことになる、と指摘しているのは政党カナリア連合のフェルナンド・クラビホ委員長だ。

その一方で、カナリア諸島州のアンヘル・ビクトル・トッレス州知事はカナリア諸島の領海は環境保護の関係から1ミリたりとも触れさせないと2年前から表明していた。

ところが、モロッコ政府はサンチェス首相が同国を訪問して両国の関係が改善されたあと1週間後に一方的にカナリア諸島の近海で発掘調査をすることを発表。

サンチェス首相の訪問で両国が合意に達した内容は今もメディアには明らかにされいていない。

スペインとアルジェリアとの関係は悪化するばかり

今回のサンチェス首相のモロッコ訪問に憤慨しているアルジェリアだ。アルジェリアがスペインに送った天然ガスがモロッコに転売されるような事態になればアルジェリアはスペインへの供給を停止する意向であること4月28日付のメディアが明らかにした。(4月28日付「ABC」から引用)。

この報道内容が意味するものは、スペインとモロッコの間でスペインからアルジェリアの天然ガスをモロッコに転売することが話されていた可能性があるということである。

今回のサンチェス首相のモロッコ訪問はアルジェリアとの外交関係を完全に損なうまでに汚点を犯したということである。その見返りがどこまであるのか未知数である。

文・白石 和幸

文・白石 和幸/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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