目次
3. 八坂神社の見どころ
4. 八坂神社の年中行事

3. 八坂神社の見どころ

重要文化財も有する八坂神社の見どころについて紹介していきます。

3.1 本殿(重要文化財)

応仁の乱をはじめ、数度の火災で焼失しましたが、江戸時代に徳川家第四代将軍・家綱によって現在の本殿が再建されました。

再建された本殿は、少し変わった造りになっています。本殿と拝殿が高さ15mもの大きな屋根で覆われ、一体化しているのです。

これは「祇園造」(ぎおんづくり)と呼ばれています。その独特な様式をぜひ確かめてみてください。

【八坂神社の七不思議】龍穴(りゅうけつ)

400坪もの屋根に囲われた八坂神社の本殿は、その下にとても深い池があり、10kmも離れた東寺や京都市内の池と繋がっているとも言われています。

八坂神社のある京都盆地はもともと池が多く地下水も豊富で、神社ができる前からこの場所には深い池があったという言い伝えもあります。

この深い池は「龍穴」と呼ばれ、青龍が棲んでいるとも言われています。龍の棲家は「気」の集まる場所にあると言われているので、この場所での参拝は、それだけの力をもらえそうですね。

また、龍穴の水で洗い清めた「青龍石」(初穂料・1,000円)を社務所でいただいて、家の中心の東側に置くと、福を呼ぶそうです。

【八坂神社の七不思議】龍吼(りゅうぼえ)

上記写真奥の本殿に参拝した後、向かって右側(東側)の柱の下で、柏手を1回「パン!」と打ってみましょう。すると、ひときわ大きく柏手の音が反響します。

本殿には「龍吼(りゅうこう※または『りゅうぼえ』とも読みます)」と呼ばれる龍の彫り物があり、大きな残響音は拍手にこたえて、木彫りの龍が鳴く声だと言われています。

3.2 舞殿

【京都】八坂神社を徹底レポート! ご利益・アクセス・見どころ・御朱印などをご紹介
(画像=『たびこふれ』より引用)

こちらの舞殿は舞楽や能の奉納にも使われますが、八坂神社では結婚式にもよく利用されています。

結婚式の際には舞殿の舞台に上がり、本殿の前で愛を誓います。本殿に棲む青龍もお祝いしてくれているかもしれませんね。夜には提灯の灯りの下でナイトウエディングを執り行うこともあるのだとか。

ちなみに、八坂神社で結婚式を行うなら、舞殿と社務所横の「常磐新殿」で会席料理とのセットプランが用意されているので要チェックです。

3.3 西楼門(重要文化財)

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(画像=『たびこふれ』より引用)

京都の東西のメインストリート、四条通の東の突き当たりにある朱色の大門が上記の「西楼門」です。その形が籠(かご)のようであることから、古くは"籠門(かごもん)"と呼ばれていました。

遠くからでもとても目立ち、記念撮影をする人も絶えないため、「ここが正門」と勘違いする人も多いのだそう。本当の正門は南側にあります。後ほど説明しましょう。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

【八坂神社の七不思議】雨垂れ

上記写真の西楼門の石段には不思議な言い伝えがあります。神社が始まって以来、楼門に蜘蛛の巣は張ったことがなく、石段に水が垂れたこともないというものです。

こちらの石段、パッと見た限り、確かに雨垂れがありませんね。なお取材日の前は、数日間雨が降っていたことを付け加えておきます。

3.4 日吉社

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(画像=『たびこふれ』より引用)

本殿の北東にある「日吉社(ひよししゃ)」は、境内の北東の角にあり、御祭神はスサノヲノミコトの子孫にあたる「大山昨神(オオヤマクイノカミ)」と「大物主神(オオモノヌシノカミ)」です。

北東の方角は京都の鬼門にあたり、「方位除け」の神様として知られています。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

そして、こちらの日吉社のすぐ前には不思議な石が。

【八坂神社の七不思議】夜啼石(よなきいし)
日吉社の鳥居前にあるこちらの石ですが、その名前の通り、夜になるとすすり泣く声が聞こえるのだとか。こちらの石を拝むと、赤ちゃんの夜泣きやカンの虫封じにご利益があるそうですよ。

3.5 疫神社

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(画像=『たびこふれ』より引用)

毎年7月31日の「夏越祓(なごしのはらえ)」に多くの人々でにぎわう「疫神社(えきじんじゃ)」は、その名の通り疫病除けのご利益がある神社です。スサノヲノミコトに縁がある「蘇民将来(そみんしょうらい)」がここには祀られています。

暮らし向きは良いとは言えなかった蘇民将来ですが、高天原(たかあまはら※神々が住んでいる場所)を追われ放浪生活を送っていたスサノヲノミコトを温かくもてなしたそうです。

その後、蘇民将来によくしてもらったスサノヲノミコトは蘇民将来のもとを訪れ、蘇民将来の子孫に恩恵を与えるために、「疫病が流行った時に茅(かや※イネ科の植物)の輪をつけて『蘇民将来の子孫です』と申告すれば病を逃れる(スサノヲノミコトの力で)」と伝えたそうです。

3.6 美御前社

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(画像=『たびこふれ』より引用)

美容、芸能、財福のご利益があるといわれる「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」は、三柱からなる「宗像三女神(むなかたさんじょじん)」が祀られています。

スサノヲノミコトの娘とも言われる三女神は、うち一柱が財福の神である「弁財天」とされているので、金運を願うならここです。

また、宗像三女神は非常に美しかったそうで、美しさを願うのもよいかもしれません。

3.7 美容水

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(画像=『たびこふれ』より引用)

美御前社にお詣りしたら、目の前にある「美容水」を肌につけていきましょう。まずは2~3滴、お肌につけてみましょう。天然のお水をつけただけなのに、化粧水をつけたようにお肌がしっとり!

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(画像=『たびこふれ』より引用)

言うまでもなくこちらの「美容水」は八坂神社境内の湧き水です。「美は健康から」という格言通り、天然のお水なら素肌も健康になれそうですね。なにぶんここは祇園の街。舞妓さんや芸妓さんもこちらの水をよく使われているそうです。ちなみに飲料水ではないので、肌につけるだけにしましょう。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

水と深い縁がある八坂神社で、水に関するお土産を持って帰られたい方は、社務所横の自動販売機で売られている「祇園水」(税込200円)をどうぞ。

3.8 悪王子社

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(画像=『たびこふれ』より引用)

「悪王子社(あくおうじしゃ)」という響きに「えっ?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらの「悪」は力強さを表すものです。

祀られているのはスサノヲノミコトの「荒魂」(あらたま※荒々しい力を示す神霊)。ヤマタノオロチを退治するほどの強さは、同時に「新魂」(あらみたま ※新しいものを作る力があるとされている神霊)でもあります。

荒々しい力と創造力のご利益があるかもしれませんね。

3.9 忠盛灯籠

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(画像=『たびこふれ』より引用)

悪王子社と大神宮社の間に位置するのがこちらの忠盛燈籠です。

【八坂神社の七不思議】忠盛燈籠

なぜこちらの灯篭は「忠盛灯篭」と呼ばれるようになったのでしょうか?

平安時代の末期に武将として名を馳せた平忠盛(たいらのただもり)の器量の良さを物語るエピソードが、「平家物語」巻之六に残されています。

5月の雨の降る夜、祇園へ向かう白河法皇の一行が、八坂神社の境内にさしかかりました。その時、雨に煙る夜道の先に、頭から針が出て、槌(つち)を持った怪しい姿が!てっきり物の怪と思い込んだ白河法皇は、お供の平忠盛に討ち取るように命じたそうです。

しかし、平忠盛はすぐに斬ろうとせず、頃合いを見計らって生け捕りに。よくよく確認すると、物の怪と思われたのは見回り中の老僧で、持っていた火が雨に濡れて反射していただけだったのです。忠盛に命を救われた形となった老僧が、その際に灯をともそうとしていたのがこちらの灯篭なのだそうです。

なお、平忠盛はこの件で大きく名を挙げ、白河法皇が逢瀬に向かっていた「祇園女御(ぎおんのにょうご※白河法皇の晩年の寵妃)」を与えられました。そして生まれたのが平清盛なのだそうです。

3.10 蛭子社

商売繁盛の神様として知られるえびす様が祀られた「蛭子社」は、「えべっさん」とも呼ばれて親しまれてきました。

八坂神社の蛭子社は「祇園のえべっさん」とも呼ばれています。全国のえべっさんのなかでも歴史がかなり古く、平安神社から八坂神社に祀られているそうです。

正月の「宝恵籠行列(ほえかごぎょうれつ)」で知られる大阪・今宮戎神社(いまみやえびすじんじゃ)も、もともと八坂神社の蛭子社にルーツがあるそうで、1月の十日戎(とおかえびす)の前には、八坂神社から神水が運ばれお供えされるそうです。

3.11 大国主社

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(画像=『たびこふれ』より引用)

こちらの大国主社(おおくにぬししゃ)は2019年現在改装中ですが、祀られているのは、「大黒様」としても知られている大国主命(オオクニヌシノミコト)で、社の前には「縁結びの神」と書かれた看板が立っています。見過ごされることも多かったこの場所ですが、最近は縁結びのご利益をもとめる若い女性の姿も目立つそうです。

さて、なぜ「オオクニヌシノミコト」は縁結びの神様なのでしょうか?

3.12 大国さまと白うさぎ像

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(画像=『たびこふれ』より引用)

その答えは......ご覧ください。出雲で語り継がれる神話に出てくる「因幡の白うさぎ」です。

神話の内容は、自らの過ちで皮を剥がれてしまった白ウサギを、心優しいオオクニヌシノミコトが救い、その救ったウサギが縁となって運命の人(ヤカミヒメ)と出逢うというものです。

周りに優しい人には、自然と良縁があるのかもしれないな......などと考えながら、白うさぎ像を見ながら優しい気持ちを思い出しましょう。

3.13 玉光稲荷社

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(画像=『たびこふれ』より引用)

八坂神社本殿の南東にあるこちらの「玉光稲荷社(たまこういなりしゃ)」は、ふだんの生活に欠かせない衣・食・住を扱う商売の神様を祀っています。鳥居をくぐると、直角に左に曲がって社殿と向かい合うという、少しめずらしい構造になっています。

【京都】八坂神社を徹底レポート! ご利益・アクセス・見どころ・御朱印などをご紹介
(画像=『たびこふれ』より引用)

社殿にお詣りしたら、境内のおきつねさんにも手を合わせていきましょう。すまし顔がかわいいですね。

3.14 刃物神社

【京都】八坂神社を徹底レポート! ご利益・アクセス・見どころ・御朱印などをご紹介
(画像=『たびこふれ』より引用)

鍛治の神様とされる「天目一箇命」(アメノマヒトツノカミ)を祀ったこちらの刃物神社は、刃物の神様として知られています。同時に、「スパッと切れる」刃物だけに、悪縁を断ち切るというご利益もあるそうです。

恋愛でも、仕事でも、新しい道へ踏み出す方はぜひ「刃物神社」へ!

3.15 南楼門

【京都】八坂神社を徹底レポート! ご利益・アクセス・見どころ・御朱印などをご紹介
(画像=『たびこふれ』より引用)

祇園交差点に面した西楼門が正門だと思われがちですが、こちらの朱塗りの南楼門が正門で、祇園祭の神輿もこちらを通ります。

西楼門は四条通りに面していますが、南楼門は京都寺社めぐりの要所ともいえる下河原通りの前にそびえています。

ここから法観寺、二年坂、清水寺も近く、美しい石畳が人気を集める散策スポットの「ねねの道」を通れば高台寺、円徳院などにも行けますよ。

3.16 大神宮社の力水

【京都】八坂神社を徹底レポート! ご利益・アクセス・見どころ・御朱印などをご紹介
(画像=『たびこふれ』より引用)

本殿の東側・大神宮社にお参りしたら、社の入口右側にあるこちらの「祇園の御神水」にも寄りましょう。

【八坂神社の七不思議】力水

通称「力水」と呼ばれるこちらのご神水は、本殿下にある龍穴から出てきたものとされ、そのパワーにあやかろうと時には行列もできます。美御前社の美容水とセットでどうぞ。

3.17 大神宮社の二見岩

【京都】八坂神社を徹底レポート! ご利益・アクセス・見どころ・御朱印などをご紹介
(画像=『たびこふれ』より引用)

<大神宮社の外宮>

大神宮社には、七不思議のひとつである「二見石」があります。大神宮者の内宮とこちらの外宮の間にあるので、探してみてくださいね。

【八坂神社の七不思議】二見岩
大神宮社の社殿の間には「二見岩」と呼ばれる小さな2枚の岩があります。実は地面に出ている部分はわずかで、地面の中に岩が深く深く伸びているのだとか。

4. 八坂神社の年中行事

八坂神社には、京都3大祭りのひとつ「祇園祭」だけでなく、数々のイベントがあります。

4.1 をけら詣り

年の暮れから元旦にかけて行われるのが、「をけら詣り」です。

12月31日・大晦日の夜、3箇所に計5基の大きな灯篭に火が灯され、願い事が書かれた白朮木(をけらぎ)が灯篭の中で燃やされていきます。

参拝者はその火を縄に移し、その火縄を回しながら家に持ち帰り、種火としてお雑煮などを作ります。火が消えた後の火縄は、火事を防ぐお守りになるので、家に置いておきます。

4.2 節分祭

2月2日、3日には、八坂神社の境内(舞殿)で豆まきが行われます。

八坂神社の豆まきの特徴は、その華やかさ! 四花街(先斗町、祇園東、祇園甲部、宮川町)による上記写真の舞踊奉納は見ものです。

また、福引き期間は2月2日~3日、引き換え時間は10~17時となっています。

4.3 祇園祭

「京都三大祭り」のひとつでもある「祇園祭」は、毎年7月の1ヶ月間にわたって行われます。

その歴史は古く、貞観11年(869年)まで遡ります。日本各地に疫病が流行した際に、66(当時の国の数)の祠(ほこら)を建てて神輿を送ったのが始まりで、応仁の乱でいちど途絶えるも33年後に復活し、今に至ります。

祇園祭は、7月1日の「吉符入(きっぷいり)」にはじまり、31日の境内摂社「疫神社夏越祭」で幕を閉じるまで、1ヶ月にわたって各種神事・行事が繰り広げられるのです。

祇園祭の期間中は、鉦や太鼓の「コンチキチン」という響きが街中に響き渡り、周囲は見物客や旅行客でにぎわいます。

16日の宵山(よいやま※本祭の前に行う小祭)では、西楼門前の四条通は歩行者天国となり、きらびやかな山鉾(だし)が目を楽しませてくれます。

17日には長刀鉾(なぎなたほこ)を先頭に、23基もの山鉾が四条通から河原町通、御池通、新町御池を悠然と進みます。

街中を鉾が巡行することで鉾に厄災いが集まり、戻ったその鉾をそのまま直ちに解体します。京都の夏のはかない風物詩です。

4.4 神幸祭・還幸祭

祇園祭の中でもっとも重要といわれているのが、こちらの「神幸祭(しんこうさい)」「還幸祭(かんこうさい)」です。

中御座、東御座、西御座の3基の神輿には、それぞれスサノヲノミコト、クシイナダヒメノミコト、ヤハシラノミコガミの3柱の御霊が遷されています。

この神輿3基は、それぞれのルートをたどりながら京都の街中を練り歩き、四条の御旅所(おたびしょ)へ到着します。ちなみにいちばん重い西御座の神輿は何と2トンもあるそうです。

神輿はそのまま24日まで御旅所にとどまり、還幸祭(かんこうさい)で八坂神社に帰っていきます。

4.5 夏越祭

蘇民将来を祭る「疫神社」では、毎年7月31日に「夏越祭」が行われます。

夏越祭では、鳥居に大きい茅(かや)輪がかけられ、これをくぐることで厄気を祓って護符(ごふ※お守り)を授かることができます。

そしてこの夏越祭で、1か月続いた祇園祭は終わりを迎えます。