軽トラックと言えば、農家の作業車や事業用の小さなトラックで、とても快適なクルマではないと思う人が多いかと思います。しかし、中にはシートをリクライニングでき、快適な車内となっている軽トラ、ダイハツ ハイゼット ジャンボがあることを知っていますか?
※2020年7月に再構成した記事になります。
目次
始まりはまるでピックアップトラックのように
専用ボディカラーもあった、トップグレード
始まりはまるでピックアップトラックのように
軽トラックに乗っている人の全てが、荷台の全部を使うわけではありません。ならば、キャビンをもう少し大きくしてもいいのではないでしょうか?そんな考えで生まれたのが、ハイゼット ジャンボです。
初めて設定されたのは1983年、ダイハツ 6代目ハイゼットの時代。ハイゼットトラックの大型キャビン版というよりは、むしろその代から設定されたハイゼットバンの乗用版、ハイゼットアトレー(現在のアトレーワゴン)のピックアップトラック版というポジションでした。
そのため、グリルガードやフォグランプ、荷台側面上部の整流カバーなど、軽トラとしては異例なことに豊富なドレスアップ用パーツが準備されていたのです。荷台を短縮してキャビンを後ろに延長、延長部分にはダンプカーのような縦長の窓がついていました。
この窓を開ければ空気の通りが良くなり、走ればかなり涼しかったので、オプションのエアコンをつけなくとも良いくらいでした(当時の3ドア軽自動車も、同じ理由でリアガラスを開けるクルマが多かったのです)。
専用ボディカラーもあった、トップグレード
それだけではなく、ハイゼットのトップグレードとして初代ハイゼット ジャンボ(S65P,S66P)には専用の赤いボディカラーまでありました。実用車というよりどちらかといえばホビーカーとしての側面が強かったのですが、実用車としての需要も高かったそうです。
通常のハイゼットトラックは椅子も背もたれも簡素、ヘッドレストなど背後のバルクヘッドに貼ってあるだけというものですが、ジャンボはハイゼットカーゴ(昔のハイゼットバン)と同じシートが使われ、完全にではありませんがリクライニングすらできました。
さらにハイルーフ仕様だったので頭上空間も広々。軽トラとしては例外的に、極上の快適性を持っていたのです。
7代目ハイゼット、ジャンボとしては2代目(S80P、S81P・S82P、S83P)の時に追加された、 4人乗りキャビンから後ろの最後部のみ、冷蔵庫などを載せられる荷台となっているハイゼットデッキバンとともに、ジャンボはハイゼットの定番グレードとなりました。
装備面はともかく、ボディバリエーションはシンプルでノーマルルーフとハイルーフ程度の違いしか無いことが多い軽トラ/軽1BOXにあって、ハイゼットはジャンボとデッキバンが存在することにより、かなり特異なポジションを手に入れたのです。