コロナ対策で生まれたマリトッツォ

“マリトッツォブーム”の火付け役「アマムダコタン」ヒット連発の極意とは
(画像=種類豊富なマリトッツォ、『DCSオンライン』より引用)

 全国で一大ブームとなったマリトッツォは、平子さんの「コロナ対策」から生まれた。アマムダコタンはコロナ禍になっても行列が絶えることはなく、開店の2時間前から並ぶ客もいた。密を避けるため、午後に客を分散させるべく開発した目玉商品が、マリトッツォだった。

 「参考にしたのは、一般の方がウェブで公開していたローマ旅行記。ローマで出会ったというマリトッツォは、生クリームがぎっしり詰め込まれた独特のビジュアルで新鮮だった」(平子さん)

 いまやコンビニでも手に入るほど一般化されたマリトッツォだが、アマムダコタンのマリトッツォは一味違う。生地は、平子さんが好きだというブリオッシュ生地にローストしたかぼちゃを練り込み、もっちりさせた。生クリームは口溶けが良くたくさん食べても重たくない大分の乳業メーカーの生クリームにこだわった。トッピングするあんこは店で炊き少し塩を効かせ、イチゴ、バスクチーズ、ピスタチオなど7種、各60個ほどを毎日作り、1日に約400個のマリトッツォが閉店19時の2時間前には完売している。

次なるトレンドは、生ドーナツ

“マリトッツォブーム”の火付け役「アマムダコタン」ヒット連発の極意とは
(画像=生ドーナツ専門店「I’m donut?」、『DCSオンライン』より引用)

 2022年3月18日、平子さんは、東京・中目黒に生ドーナツ専門店「I’m donut?」をオープンさせた。「アマムダコタンでは定番のブリオッシュ生地でドーナツを揚げてみたところ、生のようなもちもち食感で、食べたことがないドーナツができた」と平子さん。早速アマムダコタンで売り出してみたところ、即完売。あまりの人気ぶりから、ドーナツ専門店を出店する運びとなった。もちろん今回も、プロモーションに費用はかけず、集客もスタッフ募集もインスタのみで行う。

 開店は10時。平子さんの世界観を一度体験してみたい人が、早くも行列に並び始めている。

文・両角晴香/提供元・DCSオンライン

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