青い魚の多くは「実際に青いわけではない」ということをご存知でしょうか?魚が持つちょっと不思議な色素の話を紹介しましょう。
「海のネモフィラ水槽」が展示
茨城県大洗町磯浜町のアクアワールド大洗水族館で、この時期の茨城県を代表する花である「ネモフィラ」の色に合わせた4種類の青い魚の展示が行われ、話題となりました。
この展示は、ゴールデンウィーク中の名物となっている同県「国営ひたち海浜公園」のネモフィラの開花に合わせた企画「海のネモフィラ水槽」の一貫としておこなわれたものです。展示されたのは、「ルリスズメダイ」や「デバスズメダイ」、波のような模様の「サザナミヤッコ」の幼魚、しま模様が特徴的な「ホンソメワケベラ」の4種。
水槽の背景には満開に咲き誇るネモフィラの写真を用い、魚たちとネモフィラの青が共演する様子は壮観だったということです。
青い魚は実は「青くない」!?
さて、今回展示されたこれらの魚は「美しい青色」が特徴ですが、ネモフィラの花と魚たちの間には、非常に大きな違いがひとつあります。それは彼ら魚たちは「青い色素を持っていない」ということです。
魚の体色を決定する色素は通常「色素胞」という細胞の中にあります。そこには黒い色素のメラニンや、赤・黄色の色素となるプテリジンやカロテノイドなどが存在しています。
しかしその色素胞の中に、何らかの青い色素を持つ魚はほぼおらず、現在ではごくわずかな種類でしか確認されていません。したがって青く見える魚も、そのほとんどは実際に青色をしているわけではないのです。