相手に本気で関心を持てば
コミュニケーションは変わる

元ファストリ上席執行役員が明かす!「店長をヒーローにしたい」と思わせる組織づくり【後編】
(画像=まずは、心底相手に興味関心を示し、話を聞くことからはじめよう、『DCSオンライン』より引用)

――ファーストペンギンになる勇気を持ち、現場の悩みを集めようとするとき、どんなアプローチが必要でしょうか。

神保 心底相手に興味関心を示し、話を聞くというスタンスを取ること。これが最初の一手です。シンプルに「この店長は自分のことにすごく興味関心持ってくれているんだな」と相手に思ってもらえるアプローチであればどんなやり方でもいいと思います。

たとえば15分だけ時間が取れてスタッフと話ができたとします。たいていは時間不十分で気になる点や違和感が残りますよね。それをそのまま放置せずに、LINEでもショートメッセージでもいいので声をかけてほしいのです。

「この話になったときに表情が曇っていたけれど、本当はもっと話したいことがあったんじゃないかな。何かあれば、明日、直接声をかけてもらってもいいし、このLINEに返信する形でも連絡をください」というように。

これは面談のフォローアップを機械的にすべきだというテクニックの話ではありません。本当は1時間くらい話したかったけれど時間には限りがある、でもどうにかしたいという思いから出てきた言葉で、だからこそ相手の心の琴線に触れるのです。

――表層的ではない、相手の心に火を灯すやり取りはまさにトーチングですね。

神保 こういうやり取りが日常的にカバーされると、チームワークはものすごくよくなります。日常のコミュニケーションが円滑になり、「今、お時間ありますか。これ相談したいのですが」と、どんどん悩みが集まってきます。頼られる頻度が増えて、「自分の時間が取れないことが最大の悩み」という状況になってくるはずです。そうなったら、ファーストペンギンとしての最初のステップを歩み出したと自信を持ってください。

悩みは情報の宝庫、宝です。悩みを欲して、最高のチームをつくる答えをぜひ探してみてください。


神保拓也
トーチリレー代表取締役
元ユニクロ史上最年少上席執行役員

じんぼ・たくや●
1981年、神奈川県生まれ。中央大学経済学部卒業後、三菱UFJ銀行、外資系コンサルティング会社を経て、ファーストリテイリングに入社。人事部でのグローバル人材の採用や、社内経営者育成機関の立ち上げ・運営の実績を評価され、35歳で史上最年少の執行役員に抜擢される。その後、物流の改革責任者に業務未経験ながら就任し、倉庫の自動化を中心とした構造改革をわずか2年で実現。その成果から全社改革の責任者も任され上席執行役員となる。これらの半生から、部下・同僚・チームの「悩み」に向き合うことが組織の成長にもつながると確信。株式会社トーチリレーを2020年に設立し、心に火を灯す「トーチング」面談や、企業の悩み相談などのサービスを提供し、「心の聖火リレー」を広げていくことを提唱している。

4月1日より、初の書籍を発売中!
「悩みは欲しがれ」   

元ファストリ上席執行役員が明かす!「店長をヒーローにしたい」と思わせる組織づくり【後編】
(画像=『DCSオンライン』より引用)

部下・同僚・チーム、あなたの心に火を灯す新常識 
KADOKAWA 税抜1450円
――――――――――――――――――――
悩みは「不要なものか」と問われれば、私は「必要なものだ」とお答えします。それどころか、自分やチームの可能性を引き出してくれる「情報の宝庫」なのです。悩みの中には、過去の挫折やそれを乗り越えるためのヒント、チームが抱える問題の根本原因からその打ち手に至るまで、驚くほど多様で実践的な情報が詰まっています。本書では、この一筋縄ではいかない悩みとの「向き合い方」について、これまで千人以上の悩みに向き合ってきた私の経験を基に、さまざまな事例を上げて余すところなくお伝えしています。この本を通じて、一見ネガティブに思われる悩みを「遠ざける」よりむしろ「欲しがる」ようになってほしい。それが私の願いです。

提供元・DCSオンライン

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