目次
惑星形成モデルの問題点
太陽は惑星たちの母ではなく、兄弟なのかもしれない

惑星形成モデルの問題点

上記は一般的な惑星形成モデルの考え方ですが、ここには未解決の問題点があります。

塵やガスを集めて成長していく惑星形成には、非常に長い時間がかかります。しかし、恒星の周囲の円盤は、恒星自体への塵やガスの降着や、磁場などの作用により星の極方向へ物質が吹き飛ばされてしまうため、100万年程度でかなりの質量が失われてしまいます。

100万歳を超えた恒星の周りでは、もう太陽系レベルの惑星形成には物質が足りない状態となってしまうのです。

このことは惑星形成を理解する上での大きな矛盾点でした。

しかし、今回の発見は50万歳未満の星の周りで、すでに十分な大きさの惑星が育っている可能性を示唆しているのです。

分析によると、「IRS 63」から19天文単位の距離には、木星質量の0.47倍の物体によって隙間が作られた形跡があり、37天文単位の隙間は木星質量の0.31倍の物体が刻んだ可能性があります。

地球が木星の0.003倍の質量しかないということを考えると、かなり大きな天体が恒星誕生の初期段階ですでに急速に降着を始めていることになります。

これはこれまでの惑星モデルの考えからすると、予想外の事実です。

太陽は惑星たちの母ではなく、兄弟なのかもしれない

太陽は母ではなく兄弟だった?惑星は恒星誕生よりも前から形成されていた可能性あり
(画像=太陽は惑星たちの兄弟かもしれない。 / Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

この形成の速度から考えた場合、惑星の形成は恒星の誕生よりも前から始まっている可能性が高いと考えられます。

もちろんこれはまだ確定された話ではありません。

今回の発見には、他にも解釈が存在します。一説では、この円盤の隙間はラジアル・ドリフトと呼ばれる現象で作られたもので、惑星はまだ形成されていないといいます。

ラジアル・ドリフトは、円盤内のガスが塵や岩石の運動量を奪うことで、これらが星に向かって落ちてしまうため、隙間ができるというものです。

しかし、これによって円盤には物質の密度が濃い領域が生まれるため、そこから惑星が形成されやすくなると考えられます。

いずれにしても、今回の発見は赤ちゃん太陽の周りで非常に早い段階から惑星の形成が始まる可能性を示しています。

これまで太陽は惑星たちの母親のような存在と考えられていましたが、本当は惑星たちと一緒に生まれて育った兄弟のような存在なのかもしれないのです。


参考文献

MPE


提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功