あなたはペットのごはんを1日に何回あげていますか?
人間の食事に合わせて3回という方や、自宅にいるタイミングの朝夜2回という方が多いと思います。
現在は自動給餌器も普及してきたので、もっと細かく回数を設定している人もいるでしょう。
わが家でも、飼っている猫には6時間ごとに1日4回ごはんをあげています。
しかし、動物が野生下にいたときを考えると、そんなに高頻度で食事をとれていたとは思えません。
それではペットには一体どのくらいの頻度で食事を与えるのが適切と言えるのでしょうか。
本記事では犬の給餌頻度について、基本的な情報をおさらいすると共に、1万匹以上の飼い犬の生態研究から明らかになった驚きの結果をご紹介します。
目次
成犬には1日2回の給餌が推奨
最新研究で犬の給餌回数に関する驚きのデータが明らかに
成犬には1日2回の給餌が推奨
環境省の「ペットフードガイドライン」によると、犬の給餌は年齢によって異なり、消化器系が健康な成犬の場合、1日分の餌を2回に分けて与えることが推奨されています。
なお、消化器の発達が未熟な幼年期や、消化器の動きが衰えてくる老年期には1回に食べる量を減らし、1日4回程度まで食事回数を増やす必要があるようです。
犬は大きな胃を持っているため、1日に必要な食事量を1回で食べきることも可能なのですが、1日1回の給餌は以下のようなリスクがあるという理由から推奨されていません。
- 慌てて飲み込んで喉に詰まらせやすい
- 早食いになり肥満につながる可能性がある
- お腹が空きすぎて胃液を吐いてしまうことがある
実際にわが家の猫も飼ったばかりの頃、1日2回の給餌にしていたら突然黄色く泡立った胃液を吐いて非常に驚いた経験があります。
一方で1日1回の給餌でも何も問題がないという飼い主さんの話も聞いたことがあるので個体差が大きいのかもしれません。
最新研究で犬の給餌回数に関する驚きのデータが明らかに
前述のように現在ペット業界では犬の1日1回の給餌は推奨されておらず、1日2回が一般的となっています。
しかし、犬の健康寿命改善に向けて10年以上飼い犬の追跡調査を行っている「Dog Aging Project」が集めたデータを分析したところ、驚くべき結果が示されました。
給餌回数が1日1回であった成犬は給餌回数が多い犬と比べて、健康の程度を示す指標の一部が有意に良い数値となったというのです。
この結果はアリゾナ大学のエミリー・ブレイ氏が率いる研究チームによって2022年に発表されています。
ここからはこの論文の内容について詳しく説明していきますね。
1日1食が複数の健康的要素に良い影響を及ぼす
2019年にマウスについては1日1食にすることで、健康や寿命に良い影響があることが発表されていましたが、犬にとっても同様の結果となりました。
犬種も性別も異なる1万匹以上の犬のデータを分析した結果、給餌回数が1日1回である成犬は認知機能障害の数値が低くなり、胃腸・腎臓・肝臓・膵臓といった消化器を始め、歯科・整形外科的分野でも障害が起こりにくいことが示されたのです。
1日の給餌回数によって犬の認知や健康に顕著な違いが出ることは研究者たちにとっても意外な結果でした。
ワシントン大学の著名な生物統計学者であるキャスリーン・カー氏も、「犬の給餌回数が何か1つの健康に関わる要素に影響を及ぼすことは期待していたものの、今回示されたような複数の要素に影響を及ぼすという結果が出たことには驚いた」と話しています。
ただ、あくまで有意な差があったのは前述した内容のみで、心臓、皮膚、神経についての指標や、ガンの発生率などに関しては特に影響は見られませんでした。
また、給餌回数が少ない犬が健康になるというだけではなく、「健康でない犬は給餌回数が多い」という事実も考慮しなければなりません。
病気によって投薬を受けている犬は、薬をごはんにまぜて与えているケースも多く、投薬回数に伴って給餌回数も増える可能性があるのです。
さらにこれらのデータが飼い主の自己申告であることや、摂取カロリーについて一切考慮されていないことも念頭に置いておく必要があるでしょう。