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これは対象になるの? 配偶者控除ケース別解説
夫婦の在り方と働き方は千差万別、条件に合うなら配偶者控除を活かそう

これは対象になるの? 配偶者控除ケース別解説

フリーランス×配偶者控除、全ケース網羅解説
(画像=▲出典:たけべともこ/ぱくたそ、『Workship MAGAZINE』より引用)

さて、ここからは具体的なケース別で配偶者控除対象になるかどうかの判断例と、配偶者控除を申告する場合の対応を見ていきましょう。

ケース1. 会社員×フリーランスの夫婦の場合

会社員とフリーランスの夫婦であれば、会社員側が納税者になるケースがほとんどです。会社員側はパートナーの年間所得を確認して会社に申告しましょう。

たとえば、会社員の夫の年間合計所得が400万円、フリーランスの妻の年間合計所得が98万円だったとき、妻は配偶者特別控除の対象となります。

夫は年末調整時に会社から受け取る「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」に妻の所得金額を記入して提出することで、36万円の控除を受けることができます。

ケース2. フリーランス×フリーランスの夫婦の場合

夫婦ともどもフリーランスの場合は、所得の低い側の所得金額が条件に当てはまった場合、もう一方の配偶者控除対象となります。納税者となる本人は、確定申告で所定の欄に配偶者の所得を記入し、配偶者控除または配偶者特別控除のチェックをいれて申告しましょう。

なお、両者が配偶者特別控除の条件を満たすケースもありますが、互いに対して控除し合うことはできません。たとえば夫の年間合計所得が120万円、妻の年間合計所得が130万円だったとき、両者とも配偶者特別控除の対象になりますが、配偶者特別控除の申告ができるのはどちらかひとりだけです。

ケース3. 夫婦で同業を営んでいる場合

夫婦が協力して同業を営む場合は、事業主が個人なのか法人なのかで条件が変わってきます。

まず、夫婦が個人事業主と事業専従者という関係性の場合、配偶者控除の対象とはなりません。その場合は、特定の条件を満たせば事業専従者控除という、別の控除を受けることができます。

一方、夫婦が法人の代表と社員という関係性の場合は、パートナーが会社から給与を得ることになるため、給与収入を103万円以下に抑えれば配偶者控除の対象となります。年末調整の仕方は会社で勤める場合と同様です。

ちなみに、夫婦で店舗などを経営する場合、法人化すると控除面の他にもさまざまなメリットがあります。二人で事業を継続していくなら、思いきって法人化することをおすすめします。

ケース4. 夫婦ではないが同棲している場合

現行のルールでは、「民法の規定による配偶者であること」が配偶者控除の条件です。つまり、夫婦同然の生活をしていたとしても、婚姻届を出していなければ配偶者控除を受けることはできません。

近年は事実婚と呼ばれるような夫婦の在り方も浸透しつつありますが、この場合配偶者控除は受けられないことを念頭に置いておきましょう。

筆者には同性カップルで長年同棲生活を営む友人がいるのですが、「同性婚が認められないため、配偶者控除が受けられない」と話していたことがあります。今後、多様な生き方が制度上でも認められ、本当の意味で公平な制度改正が進んでいくことを願っています。

ケース5. 別居しているけれど夫婦の場合

夫婦が別居している場合、「生計を一にしている」……つまり生活費を共有しているかどうかがポイントです。

別居中のパートナーに生活費を仕送りしている、一時的に単身赴任している、介護のため実家と行き来しているなどのケースにおいては、生活費は夫婦で共有しているため、配偶者控除の条件に当てはまります。

一方、別居に加えてすでに異なる資金源から生計を立てている場合は、たとえ夫婦であっても配偶者控除は受けられません。

たとえば、離婚を前提に別居を始めた妻が、個人事業主として夫に頼らず自身の生計を立てられているのであれば、年間合計所得が配偶者控除の条件に合っていたとしても、配偶者控除の対象にはならないということです。

ケース6. 上記のケースが頻繁に変わる場合

夫婦関係とキャリア、そして年収とそれに伴う所得は年々変化します。パートナーが廃業して無職になることもあるでしょうし、自身の事業が大成功して年間合計所得が1,000万を超える年もあるかもしれません。

どんなに頻繁な変化があったとしても、控除申請の対象となる期間と、それを申告するタイミングは変わりません。1月1日~12月31日までの年間合計所得と、申告時の夫婦関係についてのみ焦点をあて、冒頭で紹介した配偶者控除の条件に合うかどうか確認しましょう。

夫婦の在り方と働き方は千差万別、条件に合うなら配偶者控除を活かそう

最後に、筆者の昔話をします。ある夏、パートナーが突然無職になり、収入の見込みが夏以降ゼロになりました。しかも、それが発端で夫婦関係が悪化。一時は家を空け、本気で離婚を検討していました。

そんな状態でも、確定申告のタイミングでは離婚届は未提出、つまり婚姻関係は継続しています。結局パートナーの生活費も自分が工面していたので、その年はパートナーを配偶者特別控除の対象として申告しました。

人生いろいろですが、ルールに基づいてドライに判断し、受けられる控除は受けておきましょう。

また、税制に関わる事例紹介の多くは、夫が生計を立てて妻が配偶者控除対象となる、いわゆる“一般的”なものです。しかし、昨今はフリーランスという働き方や自由度の高い夫婦関係が浸透してきたこともあり、納税者の立場が逆転することや、思わぬ形で控除対象が外れてしまうこともあります。

解説した基本ルールや、意味を混同しやすい用語の違いを理解し、配偶者控除の条件に当てはまるか見極めましょう。

(執筆:宿木雪樹 編集:少年B)

提供元・Workship MAGAZINE

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