ロレックス[Cal.1500系]
アンティーク自動巻きの完成形とまで評されるロレックスの1500系。フリースプラング式を採用するなど優秀な精度を誇る一方、スポーツモデルにも搭載できるタフさをあわせもつ
セイコー[Cal.61系]
独自のマジックレバー式によって実現した優れた巻き上げ効率と、毎時3万6000振動による高い精度を両立したセイコーの傑作自動巻き。高振動にもかかわらず、耐久性にも優れていたため、いまもって実用できる個体は多い
四つはいずれも高い精度と信頼性、そして優れた巻き上げ効率を誇る傑作と言え、実力は伯仲しているが、信頼性という観点から見ると、IWCの85系、通称“ペラトン自動巻き”が一歩抜きん出ているだろう。
このペラトン自動巻きでは、巻き上げ方式にロレックスなどが用いた歯車で噛み合うリバーサー式ではなく、爪の左右運動によって主ゼンマイを巻き上げるというラチェット式を採用した。メリットは、少ない巻き上げ角度でもゼンマイが巻き上がる点。そして理論上、パーツの摩耗も少なかった。リバーサー式の自動巻きでは、しばしば摩耗による巻き上げ不良が起こるが、85系においてはそういったトラブルは少ない。外装の程度が多少悪くとも、整備さえすればきちんと動く個体が多いのだ。そしてIWCはこの85系を当時、様々なモデルに搭載したため、選択肢が豊富で価格も手頃という点も魅力である。
なお自動巻きにいち早く着目し、大成功を収めたロレックスの1500系はリバーサー式だが、歯車に特殊なコーティングを施し摩耗を低減させているなどの対策が取られ、非常に優秀なムーヴメントであるが、その搭載モデルの価格は安くないというのがネックだ。
文・堀内大輔(編集部)、写真・笠井 修/提供元・Watch LIFE NEWS
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