抗菌性・戦闘力が格段にアップ

チームは、本種を飼育して、ボディアーマーがいつ発生し、どのような機能を持つかを調べました。

その結果、ボディアーマーは幼虫期には存在しないが、成熟するにつれて急速に発達し、完成したコーティングは外骨格を著しく硬化させることが判明しています。

これを実証するため、チームはボディアーマー有りと無しのA. echinatiorを用意し、同じハキリアリのAtta cephalote種と実験的に戦闘させました。

これはハキリアリの縄張り争いを再現したもので、両者の戦いは自然界でよく観察されます。

昆虫界初!「天然のボディアーマー」を装着したアリを発見、 戦闘力・抗菌性が格段にUP
(画像=A. echinatior(左)とAtta cephalote(右) / Credit: Caitlin M. Carlson、『ナゾロジー』より 引用)

サイズはAtta cephalote種の方が大きく、圧倒的に有利です。

結果、ボディアーマー無しの個体は簡単に負けてしまいましたが、ボディアーマー有りだと生存率がはるかに高くなっていました。

Atta cephalote種の大きなアゴでもアーマーは噛みきれないのです。

昆虫界初!「天然のボディアーマー」を装着したアリを発見、 戦闘力・抗菌性が格段にUP
(画像=大きな相手と戦うアーマー有りの個体 / Credit: nature、『ナゾロジー』より 引用)

さらに、昆虫によく感染する「メタリジウム菌」を用いた抗菌性テストでは、ボディアーマーのおかげで感染率が最小限に抑えられていました。

天然のボディアーマーがアリの戦闘力および抗菌性を格段にアップさせていたのです。

研究チームは「ボディアーマーの仕組みをより詳しく理解することで、物の抗菌コーティング技術に応用できるかもしれない」と話しています。

提供元・ナゾロジー

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