コカ・コーラシステムの「コスタコーヒー」シリーズは発売から1年が経ち、コーヒー愛好家から選ばれるマスプレミアムPETボトルコーヒーとして認知を高めた。今期からカフェ展開や家庭用コーヒー豆など、さまざまなカテゴリーによるマルチ・プラットフォーム戦略を強化し、マスプレミアムコーヒーブランドとしてのポジションを確立していく。
手淹れのような品質のプレミアム感を持つPETボトルコーヒー
「コスタコーヒー」は、イタリア人のコスタ兄弟が1971年にロンドンで創業したヨーロッパNo.1のカフェブランドだ。2019年にザ コカ・コーラ カンパニーの一員となった同ブランドは現在、英国、アイルランドを中心に世界32カ国で約3000店舗を展開。カフェ店舗の運営だけでなく業務用ソリューションや家庭用コーヒー豆、PETボトルコーヒーに至るまで幅広い業態・カテゴリーで多角的に展開している。
「コスタコーヒー」の最大の特長は品質へのこだわりだ。コーヒー豆から焙煎方法、抽出、ミルクに至るまでこだわりぬいた味わいは、世界中のコーヒー愛好家から支持されている。
日本では20年春より800拠点以上で業務用の卓上マシンや無人カフェマシンの「コスタエクスプレス」、キッチンカー、ポップアップストアなどを展開。21年4月にはバリスタの手淹れクオリティを実現したPETボトルコーヒーとして「コスタコーヒー ブラック」、「コスタコーヒーカフェラテ」を発売した。7月にはテイクアウトを専門にした「コスタコーヒー 原宿駅店」をオープン。10月にはPETボトルコーヒー「コスタコーヒー ラテ エスプレッソ」と、ホット専用品「コスタコーヒーブラック ホット」、「コスタコーヒー カフェラテ ホット」、22年に入ってからは自動販売機専用の商品も展開している。
日本で「コスタコーヒー」ブランドを仕切るコスタ ディビジョン ゼネラルマネジャーの金澤博史氏は、「4月のPETボトルコーヒー発売以降、日本の消費者と『コスタコーヒー』との接点を増やし、認知度を高めるための施策に注力してきた。コロナ禍でのプロモーションはさまざまな制約もあり手探りの部分もあったが、販促活動に力を入れた結果、約半年で認知率は50%に到達し、コーヒー愛好家の心を掴んでいる」と直近の1年を振り返っている。
既存のコーヒー商品との味の差別化戦略
コーヒーはこれまでも日常的に飲用されてきた飲料だが、その楽しみ方はコロナ禍以降、より多様化している。とくに外出の自粛に伴う在宅時間の増加から、手淹れのコーヒーを楽しむ人が増えているが、「コスタコーヒー」のPETボトルコーヒーはこういったコーヒーこだわり派の客層からも支持されている。
「コスタコーヒー」が支持される理由として「これまでの市販のPETボトルコーヒーは止渇性を訴求する商品が多く、コーヒー本来のおいしさを訴求する商品が少なかった。『コスタコーヒー』は厳選したコーヒー豆や100%国産牛乳はもとより、通常のPETボトルコーヒー製品と比較して、1.3倍*2のコーヒー豆を使用し、しっかりとしたコクのある深い味わいを実現した。また独自の充填技術によってコーヒーとミルクそれぞれの風味を生かし、広口PETボトルや小型容器を採用することでおいしさと上質な時間を提供した。こういったほかにはない価値がコーヒーラバーの心を掴んでいる」と金澤氏は語る。
RTD(容器入り飲料)の場合、エクステンション商品を出すブランドも多いが、「コスタコーヒー」のPETボトルコーヒーは上質な『マスプレミアムコーヒー』というコンセプトをぶらさずコア商材に注力し、今後も季節に合わせた限定商品を1~2点展開するにとどめるという。
コカ・コーラシステムではRTDコーヒーのロングセラーブランド「ジョージア」を有するが、「働くすべての人の相棒」をコンセプトとした日常使いの「ジョージア」と、バリスタの手淹れのようなクオリティを実現した「コスタコーヒー」の2ブランドの展開により、ユーザーやシーンに合わせ、訴求の棲み分けを図っていく考えだ。
*2公正競争規約コーヒー規格下限基準値5g/100g比