ハチが好む穴の罠で総個体数を減少させる

コンサルタント会社「Eco Logical Australia」の主任生態学者であるアラン・ハウス博士は2020年3月にハチに塞がれたピトー管のリスク分析を発表しています。

彼は、ホウロウドロバチが温かい季節の巣作りを好むことから、温暖化に伴いオーストラリアにも移動してきたと考えています。

さらに、ホウロウドロバチが幅約5~7mmの開口部に好んで巣を作ることも発見しました。これは、A330やボーイング737のピトー管と同じ大きさです。

そのため「ピトー管のサイズを変更するなら問題は解決されるだろう」とのこと。

しかしすべてのピトー管を交換するには莫大な費用がかかります。そのため待機中にカバーを装着することで対処する策が現実的。

ただし、出発前に再び外す手間が生じ、外し忘れるおそれもあるでしょう。

オーストラリアの空港で「ハチの巣」が飛行機を妨害している!?
(画像=(左)設置されたレプリカのピトー管 , (右)ピトー管に巣を作ろうとするホウロウドロバチ / Credit:Alan P.N.House、『ナゾロジー』より引用)

そのためハウス博士は偽の営巣地を用意し、そこに罠を仕掛ける方法を提案しました。

そして実際にブリスベン空港周辺にハチの巣サイズのシリンダーを設置。空洞がハチによって塞がれると中身が破壊されるようになっています。

これによりホウロウドロバチの繁殖は妨げられ、結果として総個体数が減少し、飛行機のピトー管を塞ぐことも少なくなるでしょう。

いずれ新型コロナウイルスが収まることでフライトの需要は戻るはずです。そのためにもオーストラリアの航空会社は今から対策し、事前にリスクを取り除いているのです。


参考文献

abc.net


提供元・ナゾロジー

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