Q8. 消費税は逆進的なんですか?

所得にしめる消費の割合は貧乏な人ほど高いので、お金持ちほど消費税の負担率が小さくなる逆進性があることは事実ですが、図3をみればわかるように社会保険料の負担は消費税の2倍以上で、きわめて逆進的です。特に国民年金保険料は貧乏な人の最大の負担で、不払いが半分近くになり、制度が崩壊しています。

日本の税金は不公平なの?
(画像=図4 社会保障の世代間格差(国民民主党)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

図4のように今の60歳以上は、はらった年金保険料よりもらう年金のほうが4000万円多いのですが、今の20代は保険料より年金のほうが1200万円少なく、よい子のみなさんは8300万円も損します。この世代間格差が、日本の最大の格差なのです。

Q9. なぜ社会保障の負担はこんなに重いんですか?

最大の問題は「保険料」という建て前です。今の現役世代が今のお年寄りの年金や医療費を負担する賦課方式なので、超高齢化で負担がどんどん重くなります。今は現役2人でお年寄り1人をささえていますが、2050年には現役1人でお年寄り1人をささえることになります。

Q10. どうすれば格差はなくなるんですか?

以上みたように所得税の累進税率を重くするのは、大した効果がありません。格差の最大の原因は社会保険料なので、これを(お年寄りもお金持ちも負担する)消費税に置き換え、すべての国民にベーシックインカムのような最低保障をしたほうが公平です。問題はお金持ちが豊かなことではなく、貧乏な人が生活できないことだからです。

この点で年金の1階部分を消費税に置き換える河野太郎さんの最低保障年金はいいアイディアだと思いますが、岸田さんは「消費税の増税になる」と反対しています。分配の問題は政治的にややこしく、多くの人の利害が対立するので、岸田さんの「新しい資本主義」とかいうきれいごとでは何も解決しないと思います。

文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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