「次はないかもしれない」からこそ、私は種を植える

少々、大げさな心構えなのかもしれませんが、私はどんなに楽しい時を過ごした相手でも、「次はないかもしれない。」という覚悟を持っています。もちろん、楽しく過ごした相手とは次も一緒にいたいと思うものですが、自分はそう思っていても、相手の心は移りゆく季節のように簡単に変遷していくということを、嫌というほど体験してきました。

そんな時、ついつい一期一会を考えます。「これが最後の時間かもしれない」と思うのは切なさを感じるものです。私の場合は自分が知っていることや考えの中で、相手のお役に立てそうなものをお渡しするようにしています。それが時に、未来に咲く種を残すことがあるからです。そんな時に「一期一会」を考えさせられるのです。

数年越しに連絡をくれた大学生

私は数年前、ある大学生と話をする機会がありました。彼は大学入学時に22歳、かなり遅咲きのスタートです。私は23歳で大学デビューでしたから、遅咲きという点では共通しています。

彼と会った時、まさしくこの一期一会を意識して「遅咲きでも自信を持って、努力をすることの重要性」「大学で学ぶことの真の効用」「大学生の時に英語を身に着けておいた方が良いこと」などについて、誠心誠意、彼にお話をさせてもらいました。彼は喜んで帰っていき、「これでお別れになっても悔いはない。彼ならきっと、このアドバイスを活用してくれるだろう」と思ったものです。

時は流れて数年後、彼は大学を卒業するタイミングで私に連絡をくれました。驚いた事に私がアドバイスした内容をしっかりメモを取り、自分なりに目標を定め、アドバイスした軸に沿って戦略的に取り組んでいました。遅咲きながら非常に優秀な成績で大学を卒業し、夢だった仕事に就く事になったと教えてくれました。「大学生の間に英語も出来るようにしました」ということを言ってくれて、この言葉には嬉しくなったものです。

「一期一会、これが最後になっても未来で花を咲かせる種を」、そう思ってまいた種が開花し、彼は立派な青年に成長してくれたのです。別れるともう、二度と戻ってくることのない圧倒的大多数の中、彼は私のことを忘れず戻ってきてくれ、私に一期一会の本当の意味を授けてくれた気がします。

彼とのこのやり取りをした経験は今でも私の中に価値観として残り続けており、2019年の今付き合いをさせてもらう相手にせっせと種まきをすることに繋がっています。正直、種から芽が出るかどうかはわかりません。それは相手にお任せです。

99%は花が咲くことはありませんが、1%の確率で花が咲いて、数年越しに繋がっていたことの素晴らしさを思い出させてくれる。これこそが人との出会いと別れの素晴らしさであると感じます。

文・黒坂 岳央

「一期一会」に込められた真の意味を、私はこう解釈する
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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